日本のゲームは世界で勝てるのか?

ゲーム産業の今後(その1)

 IT業界の国内外のキーパーソンが一同に会す、インフィニティ・ベンチャーズ・サミット(IVS)。 IVSは経営者・経営幹部のみを対象にした招待制のカンファレンスとして、年2回開催されている。本連載では、2013年12月3日〜4日にかけて京都で開かれた「Infinity Ventures Summit 2013 Fall Kyoto」のイベントの一部を紹介。第3回目は、カプコン、グリー、サミーネットワークス、DeNAのキーパーソンによる「ゲーム産業の今後」のセッションをお届けする。 
<「ゲーム産業の今後」セッション登壇者(写真左から)>
(モデレーター)
・インフィニティ・ベンチャーズLLP 共同代表パートナー 小野裕史氏
(スピーカー)
 ・カプコン 社長COO 辻本春弘氏
 ・サミーネットワークス/セガネットワークス 社長CEO 里見治紀氏
 ・ディー・エヌ・エー取締役兼執行役員 Mobage 統合事業本部 マルチリージョンゲーム事業本部長 小林賢治氏
 ・グリー 取締役 執行役員常務 青柳直樹氏

「とりあえず気合いでつくれ」の時代は終わった

小野:ゲーム業界の今後というテーマで、進めていきたいと思います。

既にゲーム業界にいらっしゃる方には釈迦に説法ですが、世界のゲーム市場は、2011年から2012年にかけて約16%伸びています。プラットフォーム別で見ると、パッケージの市場が下がる一方、オンラインの市場が急伸して、全体のパイをふくらましている状況です。

国別のシェアを見ると、日本はゲーム大国とうたわれてはいるものの、世界全体で見るとシェアは13%程度で、北米と欧州がそれぞれ3割強のシェアを占めています。日本のプレーヤーとしては、この大きな市場をどう取りにいくかが、ひとつのテーマになると思います。

こうしてオンラインの比率が上がっている中で、意外だと思ったのは、ネット寄りになればなるほど開発期間が短くなって量産かと思いきや、むしろ、グリーの青柳さんは「じっくり作っていく」という戦略をちらつかせていることです。そのあたりの開発に対する考え方は、変わってきているのでしょうか。

青柳:もちろん、開発プロセスのマネジメントをして早く出したほうがいいに決まっています。ただ、タブレット向けなど、より本格的なゲームが出てきているマーケットの中で勝負していこうとすると、3ヶ月や半年では作りきれません。残念ながらそれが現実です。そういう現実にあわせて、作り方や発想を変えなければいけないと思います。

例えば昔のゲーム作りで言うと、「釣りスタ」は3ヶ月ぐらいでできているわけです。ただ今は、3ヶ月でちゃんとしたゲームは作れません。「とりあえず、気合いで作れ」といった形から、ちゃんと専任の担当者を置いて、プロジェクトマネジメントやクオリティアシュアランス(品質保証)をするという形にシフトしています。

過去のコンシューマー向けのゲーム開発で実施されているような「お作法」というのが、僕らには十分ないので、そうした形をきちん取り込んでいかないとダメだと思っています。

小林:DeNAも全タイトルの開発をめちゃくちゃ早くしようというよりは、濃淡つけましょうという感じです。リッチ性で勝負するのはなかなか難しいと思っているので、ゾーンを絞っているんですね。シューティングゲームなど一部のタイトル以外は、手軽さをいちばん重視しています。エンターテインメントとして、今までにないスマホの特徴を生かせるのはそこだと思っているからです。

きちんと腰を据えて画面に向かって正座して、「よし、1時間ぐらいゲームやるぞ」というジャンルを、まだわれわれが作れるとは思っていません。というよりは、暇なときにちょっとゲームしよう、という障壁の低さと、また戻ってきてしまう引っかかりみたいなところを重視して作っています。画面のリッチさや表現の重厚さというより、テンポ感やレベルデザインの妙というところにこだわっています。

場合によっては、(モバイル向けゲーム開発会社の)英キング・ドット・コムのように、まずユーザーにゲームをやってもらって試すという手法もあります。これは、大胆ですが実は一番確実な方法です。ある意味、長大なユーザーテストを行う中で、ブラッシュアップしていくというやり方です。

スマホになって、マーケット本位な流通が始まり、卸なり何なりという調整がいらなくなった。そうなった以上、どのタイミングでゲームを市場に出すかは、タイトルごとディベロッパーごとに決めるものだと思っています。DeNA内部でも、「このタイトルはどこまで仕上げてから市場に出そう」「完成度は8割ぐらいかもしれないけどマーケットに出しながら反応見よう」といった形でスタイルを選んでいます。ですので、一概に、マーケットに出るまでの期間というのを比べることはできないということです。

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