僕だって“躊躇”がないわけではない
伊佐山元(以下、伊佐山):井口さんとの出会いは2008年の冬、シリコンバレーのベンチャーキャピタルDCMに勤務している時期です。井口さんは当時、自ら起ち上げた頓智ドットで、「セカイカメラ」という現実の背景に情報を重ねて表示する、AR(拡張現実)技術を用いたスマートフォン向けアプリに取り組んでいるときでした。その後、DCMは、頓知ドットに投資するのですが、井口さんはとにかくインパクトがありました(笑)。投資を決めるデューデリジェンスをした際に、失礼ですが経営者っぽくなく、哲学者みたいでした。
井口さんを拝見していて大事だと思うことは、頓智ドットが、今、新しい経営者で新たな挑戦に向かっている中、井口さん自身もウエアラブル(身に付ける)端末を作るテレパシーを起ち上げ、セカンドチャプターを始めている点です。
普通は、初めのプロジェクトをやめて、再挑戦する場合、同じテーマを避けるパターンが多い。「1回失敗したのに……」となるわけです。だけど、井口さんは、再びテレパシーを起ち上げ、スマートフォンに続く次世代端末として注目されるウエアラブル端末で、さらにハードルの高いことに取り組んでいる。米グーグルと対抗するなど、誰もができるわけがないと思っていることを、あえてやっているところがすごいと思いますね。
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