バカな人々と戦って「人間とは何か」を学べ!

『うるさい日本の私』の中島流騒音対策法

 獣や魚がどうなのかは知らない。だが古今東西、老若男女、人が悩み、迷うのは確か。“戦う哲学者”中島義道氏が開く人生相談道場に“同情”はない。ここにあるのは、感受性においてつねにマイノリティに属してきた中島氏が、壮絶な人生経験を通じて得た、ごまかしも容赦もない「ほんとうのこと」のみ。“みんな”の生きている無難な世界とは違う哲学の世界からの助言に、開眼するも、絶望するも、あなた次第である。

※中島義道氏への人生相談はこちらから

【vol.10】
 9年前に、売り出していた新興の宅地を購入し、家を建てました。住み始めて数日で、「失敗であった」ことに気づきました。理由は、近所の子どもと親たちの騒音、迷惑行為です。おのおののお宅で騒ぐなら、すこしは許容できたのかもしれないのですが、道路を占領し、わが家の前で集合し、騒がれるのです。現在も続いています。
 家を建てたとき、私は22歳と若く、住宅地に住む人間(すべての人ではないのかもしれませんが)がこれほど野放図であるとは、想像すらできませんでした。「考えが甘かったのかな」「残念だけど、こういうことに耐えることが、一軒家に住むということなのかな」と、日々後悔しています。
 田舎なので6年前にはローンも完済することができ、経済的な心配事はありません。引っ越すことは、不可能というわけではないのですが、現実的でもありません。やはり私の性根がケチなのでしょう、注文住宅であるため建築費がそれなりにかかっており、そのわりに相場売価がやすく、差額を居住年数で割ると、1年当たりの住居費が、200万円以上になってしまいます。
 住んでいる地域の賃貸では月額10万円も出せば、そこそこ暮らせます。夫の職場では、家賃補助があるので、実質負担はもっと少ないのです。 
 モッタイナイ。
 そこでまた、後悔……。
 「売る気になれば、何でもできる!」と開き直り、習い事をしたり、通信制の大学の勉強したりしているのですが、出掛けるとき、帰宅時には道路での大騒ぎが目に入ってしまいます。家中の窓を閉めても聞こえるほどなのです。
 学校をでてすぐに、年上の夫と幸せな結婚をしたため、いわゆるフツウの社会人が通るであろう道や、経験するであろうことが欠けている人生であることは承知しています。働いた貯金を使い、わたしの幸せを願い、家を建ててくれた夫には、申し訳なくて本音は言えませんでした。しかし、この環境に耐えかね、ついに「引っ越したい」と伝えました。答えは、「定年したら」とのこと。あと14年もあります。地獄に落とされた気持ちです。どうすれば、すこしはマシな(気持ちで)暮らすことができますでしょうか。中島様、どうか知恵をお貸しください。(31歳、主婦)

 長年、ありとあらゆる騒音と戦ってきた私であればこそ、今回のご相談は「身にしみて」わかります。相談10回目にして、ご相談を読むにつれ、むらむらと怒りが込み上げてくるものに遭遇できました。しかし、解決することが何と難しいことか、と思わずため息が漏れます。こういう相談に対して、多くの人は「和解」を求めますが、それがなかなか難しい。なにせ、相手は「こんなことに腹を立てるほうが悪い」と確信しているのだから、手に負えない。こういう「野蛮な」やからには、「現実策」でいくしかありません。そこで、以下、これまで私なりに獲得してきた「現実策」をご披露しようと思います。

相談者の家屋がどのような構造をしているのか(道路とどのように接しているのか、扉や窓はどこにあるのか、など)わかりませんが、まず第1の対策としては完全な「防衛」です。家中の扉や窓を2重にするということが考えられますが、それはずいぶん費用がかさむでしょうから、その場合は家屋の一部を「防音室」にすることです。そして、耐え難い近隣騒音の場合は、そこに緊急避難する。これで、だいぶ精神の負担は軽減されることでしょう。

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