悩みがないなら、不幸な人に思いを馳せよ! 今回の相談は挑戦的!

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獣や魚がどうなのかは知らない。だが古今東西、老若男女、人が悩み、迷うのは確か。“戦う哲学者”中島義道氏が開く人生相談道場に“同情”はない。ここにあるのは、感受性においてつねにマイノリティに属してきた中島氏が、壮絶な人生経験を通じて得た、ごまかしも容赦もない「ほんとうのこと」のみ。“みんな”の生きている無難な世界とは違う哲学の世界からの助言に、開眼するも、絶望するも、あなた次第である。

※中島義道氏への人生相談はこちらから

【vol.9】
 連載、拝読しています。相談をよく見ていると「なんて悩みが多い人たちばかりなのだろう」と驚かされます。私は毎日、気楽に生きていますし、悩みらしい悩みもありません。うまくいってもうまくいかなくても「それが自分の今の力だ」と思う程度です。
 もちろん、仕事も手を抜いているわけではありません、給料の分、働いていますし、きっちりと結果は残しています。ですが、生まれ持っての性格なのか、見た目のせいなのか、周囲からは「おまえは悩みがなくていいよな、気楽で」と言われます。
 そこで「どんな悩みを持ってるんですか?」と聞くと、正直、たいしたことがありません。大抵、仕事が大変だったり、学歴の悩みだったりです。それも、悩みの大半は具現化していない将来に対するぼんやりとした不安だったり、過去の自分の失敗だったりで、「今、悩んでも仕方ない」ものばかりです(病気などの悩みは除きますが)。
 だったら、今を一生懸命生きるほうが、人生は楽しくないでしょうか? 精神的に健全なのではないでしょうか? 心の中で、ウジウジ悩んでいる人を見ると正直、バカにしてしまいます。
 中島先生、悩むのはバカらしいと思いませんか?
(24歳、男性、会社員)

今回の相談は挑戦的!

今回のご相談は、今までとはずいぶん趣が違いますね。しかし、全然、意外ではありません。「心の中でウジウジ悩んでいる人を見ると正直、バカにしてしまいます。中島先生、悩むのはバカらしいと思いませんか?」という挑戦を受けると、まず、「ああ、思いますよ」と書いてオシマイにしたくなる。

というのも、どうも相談者はこういう回答を期待しているのではないらしいから。そうではなくて、私が「いや、ちっともバカらしくないのだ」と力説する答えを求めているらしい。さらに、「そんなことを考えるあなたは、真剣に生きていない証拠です」という説教調の回答さえ求めているように感ずる。とすると、どうしてもそう答えたくないのが私の性分なのです。とはいえ、「それでいいんじゃありませんか? 何が問題なのですか?」という突き放した回答をしても、まんまと相談者の手に乗るような気がしてイヤなのです。

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