成功者に「嫉妬の炎」を燃やし続けよ

「身の程知らずな欲望」が人生にコクを添える

獣や魚がどうなのかは知らない。だが古今東西、老若男女、人が悩み、迷うのは確か。“戦う哲学者”中島義道氏が開く人生相談道場に “同情”はない。ここにあるのは、感受性においてつねにマイノリティに属してきた中島氏が、壮絶な人生経験を通じて得た、ごまかしも容赦もない「ほんとうのこと」のみ。“みんな”の生きている無難な世界とは違う哲学の世界からの助言に、開眼するも、絶望するも、あなた次第である。

【Vol.14】 低学歴でも世間から知的に評価されたい

 私はまともに授業を聞いた覚えもないまま高校を卒業し、都内の三流大学に進学しました。しかし、大学も2年目が終わりに差し掛かった頃、まじめに受験勉強しなかったことを強く後悔し、一念発起して難関大合格を目指して中退しました。
 ところが、これが失敗でした。
 あえて中退して自分を背水の陣に追い込んだにもかかわらず、相も変わらず勉強もせずに読書、テレビ、ラジオ、ネットざんまい。しかも親には「よくもこんな馬鹿に生んでくれたな」と八つ当たりまでする始末。そんな暇があるなら勉強すればいいものを。
 結局、1年間ほとんど勉強しなかったため再び三流大学(の哲学科。先生の著作に毒されて!)に入ることになってしまいました。前の大学と比べれば学んでいる内容ははるかに面白くなったのですが、大学のランクがまるで向上していないことには、われながらあきれてしまいます。
 こんなにも頭の悪い私ですが、おこがましいことに「知的な側面で評価されたい」という身の程知らずな欲望を持っています。中卒や高卒なのに芥川賞を手中に収めた作家連中を見ると、どうしても嫉妬に駆られてしまいます。
 いったい学歴(学力)の低い人間が世間から知的に評価されるためには、どうするのが得策ないし早道なのでしょうか。押しも押されぬ高学歴の成功者である先生に対して、このようなお伺いを立てるのは筋違いかもしれませんが、どうかお答えいただければ幸いです。
(25歳、職業不明、男性)

 

今回の回答はとても簡単です。「学歴(学力)の低い人間が世間から知的に評価されるためには、どうするのが得策ないし早道なのでしょうか」というご質問、しかもそのための努力はしてこなかった(したくない)という質問ですが、「得策ないし早道」がないどころか、いかなる方法もありません。これは、体力もなく、運動神経も鈍く、かつ努力もしなかったのに、オリンピックに出場するにはどうしたらいいか、という質問と同じく、絶対にいかなる方法もないのです。ご両親に「よくもこんな馬鹿に生んでくれたな」と八つ当たりしてもしょうがありません。あなたのご両親も、「馬鹿に生もうとして」あなたを生んだのではないのですから。「大学のランクがまるで向上していないことにわれながらあきれて」も仕方ありません。あなたは、そのランクの大学にしか合格できなかったのですから。

あなたのいらだちはわかりますが、問題は、2つあるような気がします。第1に、あなたが、「知的な側面で評価されたいという身の程知らずな欲望」を持っていること。第2に、それにもかかわらず、努力してこなかったこと。もっとも、各人の才能には差異がありますから、どんなに努力してもダメかもしれませんがね。

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