関空第1ターミナル、深刻すぎる被害の実態 台風直撃で9月14日まで完全機能停止が続く

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ターミナルの一定エリアでは停電が続いている。特に2階のチェックインカウンター後ろにあるフードコートエリアは基本的に真っ暗で懐中電灯がないと歩くことすら難しい状況だった。2階や3階を中心に歩いているだけで、ゴミ特有の匂いを感じる。

空港関係者向けに第1ターミナル2階にあるコンビニエンスストアもオープンしていたが、特に「ファミリーマート」は店内が停電で、店の前にパンを大きなトレイを地べたに載せたままの状態で販売していたのが印象的だった。

そんな中でも電源を確保してホットコーヒーだけは入れたてを販売していた。「ローソン」は店内の照明はついていたが冷蔵庫が使えずに飲み物は常温で販売されていた。その他の飲食店は全て閉鎖されたままだ。特に外の明かりが入らない飲食店は、真っ暗な状況で何もできていないお店もあった。

空港関係者の健康面が心配になる

空調が効かない劣悪な環境の中で出勤している空港関係者は、全力で復旧に向けて動いている姿が見られた。長期化となれば健康面への影響も懸念されるため、関係者はしっかりケアしてほしい。携帯電話については復旧しており、特に大きな不便さはなかった。とにかく停電が復旧しない限り、第1ターミナルの再開自体が難しい。連絡橋の損傷と同等以上に深刻であるというのが筆者の感じた印象だ。

関空は今や年間2800万人が利用し、半数程度が外国人だ。この観光需要が関西経済に少なからぬ影響を与えているため、要となる関空が機能停止した状態が続くのは望ましくない。早期復旧を進めるとともに、政府主導で動き出した、通常運用の大阪国際空港(伊丹空港)や神戸空港の両空港から、関空が通常運用に戻るまでの期間だけでも一刻も早く国際線を飛ばすような措置も早急に考えたほうがいいだろう。

鳥海 高太朗 航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

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とりうみ こうたろう / Kotaro Toriumi

1978年千葉県生まれ。成城大学経済学部経営学科卒。食品会社、コンサルタント、城西国際大学観光学部助手を経て現職。専門は航空会社のマーケティング戦略。利用者・専門家の双方の視点から各社メディアを通じて情報発信をしている。

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