東京ステーションホテルの客がアツい理由 「帰りたくない!」など熱いコメント続出

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――ターミナル駅ですからね。昔の方には特に。

そうです。駅というのはやはり、人と人が出会って別れて。開業前のテレビCMでもイッセー尾形さんに「東京の中心で、たくさんの出会いと、数え切れない思い出を見つめてきた」というナレーションがあるのですが、自分の生きてきた人生を振り返るとか、自分の歴史が重なるのではないかと思うのです。

だから、一件一件のコメントが非常に重い。

――「楽しかったです!」とか、そういうノリではないんですね。

窓から丸の内が見渡せる「パレスサイド」の客室。広くはないが天井が高く落ち着ける

違います、違います。それがよくあるコメントですよね。でも、「親切にされました」「よい滞在でした」「楽しかったです、また来ます」ではないのです。

「感動しました」とか、あるいは一言「帰りたくない」。私もどうやってコメントでご返信しようかと。あとは「一歩も部屋から出ませんでした」とか。みなに見てもらいたくて、裏につねに貼っています。

――宿泊サイトとかで、いろいろコメント出てますけど、あまり見ないコメントですね。

「生きる力をもらいました」とか、「明日からまた頑張れます」とか。そこまでかかわってしまっている。

逆に私がスタッフに言っているのは、「大丈夫か? 俺たち、(お客様の思いを)ちゃんと受け止めて差し上げることができているか?」と。単にサービスレベルを上げるとか、スキルを上げろとか、そういうことではたぶんない気がします。

もちろんサービスレベルを上げる取り組みはしていますし、教育も継続的に行っていますが、それ以上に本当に大切な、このホテルに課せられたものがあると思いますね。

従業員の方言は“あえて”直さない

――内装などハード面では、リニューアル以前とはほとんど変わっていないのでしょうか。

今の内装はお客様へのアンケートの結果を踏まえて、ヨーロピアンクラシックを基調にしています。昔は赤じゅうたんが敷き詰められていて、交通の便のいいレトロなホテルという感じで、本当のクラシックが担保されていたかどうかはわからないですね。

――以前からのステーションホテルとはだいぶ違う。それでもかつてのファンをがっかりさせているわけではないのですね。

以前のホテルを知っている方は「変わってしまいましたね」とおっしゃる一方で、歴史を感じるものはきちんと残っていて、しかも居心地のいい非常に洗練された空間になっていると、ほとんどが肯定的なコメントですね。

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