東京だけでも、星の数ほどあるホテル。どれも大差ないと思ったら、大間違い。一歩足を踏み入れれば、そのホテルにしかない、魅惑のストーリーが展開している。
レジャーとしてのホテルを知れば、より日常が楽しくなるはず――。この連載では、注目のホテルの総支配人を訪ね歩き、知られざるホテルの物語を発掘していく。
新宿駅から少し離れた“隠れ家”的な立地にそびえ立つパークハイアット東京は、独特の雰囲気をまとう気になるホテルだ。
1994年の創業当時にこのホテルを訪れた人は、そのときの衝撃を覚えているはずだ。長い回廊を抜けていった先にあるチェックインスペース。そこにはカウンターに並ぶ人の列はなく、ダウンライトの下、お客がそれぞれのテーブルでゆったりと手続きをしている。レストランの人気は当時からすさまじく、本場アメリカの空気感を再現したかのようなニューヨークグリル、ジランドールには、今もなおセレブやトップエリートたちが集う。
今回の取材で久しぶりに訪れてとにかく驚いたのは、それらが20年前のまま、ほとんど変わっていないということだった。「日々革新」をうたう同じ資本系列のグランドハイアット東京ともまったく違う、パークハイアットの流儀とはーー。フィリップ・ルデサー総支配人に聞いた。
22年前のデザインが新しいワケ
――パークハイアットは、今や外資系ラグジュアリーホテルの中では古参のひとつです。1994年の開業からほぼ20年になりますが、施設やお部屋のデザインが時代遅れになった印象はありません。
客室を拝見しましたが、開業時と同じテーブルがあり、当時は斬新だったはずのガラス張りのバスルームも健在。むしろ当時の先見性に驚きます。それにしてもパークハイアットはなぜ、変わらずに生きていけるのでしょうか。
開業当初から一貫して、ジョン・モーフォード氏がインテリアや照明など、ビル内のすべてをデザインしています。ビル自体は丹下健三氏のデザインですが、彼とコラボレートしてこのホテルは出来上がっています。
モーフォード氏は天才だと思います。今から22年前のデザインですが、時代を超越している。当初から非常に考え抜かれているので、古臭さを感じさせないのです。先代の総支配人も私もみな、モーフォード氏とよく相談しながら、ホテルのデザインコンセプトを保っています。
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