学生に伝えたい、会社選びのイロハ 働くために「やらない」こと

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学生時代にやるべきこと

会社選びとは少し離れますが、ふと思い出しましたので、最後に余録的に触れておきたいことがあります。先日、縁あって学生何人かと社会人何人かで話をする機会があり、学生のひとりから「学生の間に何をやるべきか」と質問されました。私は「今しか遊べないのだから遊んでおけ」という、とても紋切り型のアドバイスをしてしまいましたが、今、考えれば学生の気持ちに理解を示すようでいて、でも一方で、とてもいい加減なアドバイスだと後悔し反省しました。

上にも少し書きましたが、私は社会に出たのが26歳になる年でした。だいぶモラトリアム期間が長かったと思います。その頃は周りの多くの友人が社会人で、私自身は学生の分際で既婚者でした。当時は稼ぎのある妻に養ってもらい、社会人の友人には飲み会代を割り勘ではなく傾斜勘定してもらい、だいぶ情けない気持ちでいたことを思い出します。社会に貢献できていないことが不安でした。先輩や友人にアドバイスを求めて「今しか遊べないのだから遊んでおけ」というようなアドバイスをまさに受け、そういうことを聞きたいのではないのに……と感じてもいました。

でも私は今、確信を持って言えます。学生の本分は勉強をすることです。学生と社会人の違いは勉強可能時間です。必ずしも机の上のものだけではありませんが、要するに目的意識を持って学習し続けるということです。

学生も社会人も一定の時間的拘束の中で生活しますが、その両者はカネを払って生きているか、カネをもらって生きているかという大きな違いがあります。カネを払っているからこそ、持っている自由は学習する自由に使うべきです。

自分の適性や自分らしさというものは、基本的には幻想で、本質的には自己暗示だと思います。その自己暗示のためにも、漫然と遊ぶことではなく、机に向かうものも向わないものも含めて、引き出しを増やす学習努力をし続けることは絶対に必要です。

それこそが学生のときにやるべきことで、まさに会社選びで躊躇なく飛び込んでいく行動力をつける修練のようにも思います。

※ 本文は筆者の個人的見解であり、所属する組織・団体を代表するものではありません。

中里 基 企業再生ファンド勤務 ターンアラウンドマネージャー

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なかざと もとい / Motoi Nakazato

企業再生ファンド勤務 ターンアラウンドマネージャー
慶応義塾大学理工学部卒業、同大学院理工学研究科修了。日本IBM、マーサージャパン、コーポレイトディレクション(CDI)での戦略コンサルタント/プロジェクトマネジャーを経て、10年より企業再生・地域経済活性化を支援する官民ファンド勤務。ターンアラウンドマネージャーとして、さまざまな業種における企業再生(戦略立案・実行)に従事。グロービス・マネジメント・スクール講師、グロービス・パートナーファカルティー。
Twitter:@chu_riki 筆者連絡先:motoinakazato@yahoo.co.jp

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