学生に伝えたい、会社選びのイロハ 働くために「やらない」こと

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あるいは同じような新人時代、ある常駐プロジェクトで台風が直撃した日のこと、昼にランチに出るのが億劫だということで、15個くらいだったと思いますが、弁当の買い出しにひとり行かされたことがありました。濡らしたりこぼしたりして後でどえらく怒られましたし、弁当代の回収も確か全額できなかった(怖そうな先輩には徴収に行けなかった)のですが、何もできない自分がプロジェクトに貢献できていると思えた瞬間でもありました。

これらの仕事に不満を言おうと思えばいくらでも言えます。でもどんな環境でも学びややりがいは、その気になればいくらでも見いだせるものです。

理系・文系にとらわれない会社選び

あと会社選びの際に、理系とか文系にやたらにこだわる人がいます。私は大学の学部は理工学部の機械工学科です。卒業後、大学院に進み、修了後20代半ばになって就職しました。30代半ばを過ぎた今でも「理系なのにコンサルティング?」「理系なのに企業再生?」とか言われるときがたまにあります。

でも思うのですが、理系だの文系だのは学生時代の数年間の話です。キャリアの何十年という時間軸の中で、学生時代の数年の理系・文系の違いなど、まったくもって取るに足りない話です。大体、自分がやっている勉強や研究の延長を仕事にしている人なんて、本当にわずかなものです。現実的には大学のゼミか研究室に残り続けないかぎりありえないでしょう。私の所属していた研究室で、メーカーや重工・重機、自動車の研究職など典型的な理系就職を決めた友人や先輩後輩を見ても、結局、大学での研究と違うテーマで仕事をしています(当たり前です)。商学部や経済学部から銀行や商社に行った友人知人も、当然、自分の大学時代の研究テーマとは別のことをやっています(これも当たり前です)。

理系・文系というわずか数年程度の実態を伴わないステレオタイプなイメージで、自分の数十年のキャリアの可能性を狭めている行為は、本当にもったいないと思います。

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