ブルーボトルが「ネスレ」を選んだ決定的理由 来日した創業者とCEOに直撃!

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――200人以上いた投資家が1社になると、意思決定もだいぶスムーズになりますね。

フリーマン:これまでもずいぶん楽で、これ以上簡単になるということはないと思うんだけどね。これまで役員会は私とブライアン、それから(ブルーボトルに出資している)インデックス・キャピタルなどの代表者が出ていたんだが、1度として「あー、これがやりたいのに役員に反対された!」ということはなかったからね。

顧客には行動で見せていくしかない

――今回の傘下入りについては賛否両論があります。特にブルーボトルファンからは、残念だとか、ガッカリしたという声も出ています。

「ガッカリするファンがいるのはわかる」と話すフリーマン氏(写真:今井康一)

フリーマン:ガッカリというのはあるだろうね。そういう声があるのは仕方ない。私の好きな本の中に、『The Elemens of Style』という本があって、その中に「Show. Don’t tell(行動で示せ。伝える必要はない)」というフレーズが出てくるが、まさにその通りだと思っている。私たちがやるべきことは、行動で示すことであって、懐疑的な人たちにいろいろなことを伝えることではない。来週、あるいは来月、2カ月後でもいいからお客さんに店に来てもらって、見てもらうしかない。

――特に米国では、ネスレが過去に環境問題を起こしたことなどについて厳しい見方があります。ブルーボトルのブランドイメージに悪影響を与えることはないですか。

ミーハン:可能性としてないとはいえない。ブルーボトルは環境、サステイナビリティにおける先進的企業であり、ネスレにとって私たちと組むことは意義のあることだろう。一方、ネスレは新たにとても進歩的な社長を迎え、役員会直轄のサステイナビリティ委員会を設けている。ジェームスと私は、今後もCEOと直接やり取りをすることになるので、何か環境面で気になることがあれば、直接声を上げることができる。

ネスレは過去に(環境面で)いくつかミスを犯したことを踏まえて、原料の生産やビジネス上のモラル、人権問題などの面において改善をしようとしている。そして、こうした面において先進的な取り組みをしている。

――今回の件は、従業員にとってもショックだったのでは。

フリーマン:従業員にとってとらえ方はまちまちで、出資の利点をすぐに理解した人もいれば、受け入れるのに時間がかった人もいる。いずれにしても、ものすごいリアクションがあったのは確かで、だからこそ私とブライアンはいろいろな地域を回って、従業員に会おうと思った。彼らに質問がある場合、直接私たちに聞けるように。

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