一段と混迷の様相を深める、英国とEUの交渉 期待できない離脱協議の短期決着

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求心力の低下で英国内をなかなかまとめられないメイ首相。EUとの交渉は厳しい(写真:ロイター/アフロ)

2019年3月に英国がEU(欧州連合)を離脱するための手続きは、具体的な条件を協議する段階に入り、一段と混迷の様相を深めている。

協議は、EU側の方針に従い、2018年秋を期限に2つの段階に分けて行われる。

第1段階では、離脱に伴う権利と義務を明確にする。英国在住のEU市民の権利とEU在住の英国民の権利、そして離脱にあたって必要な清算金について優先的に協議する。アイルランドと北アイルランドの国境問題に関する対話も始める。

遅れる英国の具体的な条件の提示

離脱後の英国とEUの関係については第2段階で協議する。

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6月の総選挙で事実上、敗北したことで、メイ政権の求心力は低下し、望ましい離脱のあり方をめぐる政権内の議論、保守党内の議論、世論ともに分裂気味だ。

それでも、現時点では、単一市場からも関税同盟からも去る「ハードな離脱」が英国政府の公式の方針であり、包括的な自由貿易協定(FTA)に基づく関係への移行を目指す。ただ、FTA協議は、英国がEU加盟国ではなく第3国となった離脱後となるため、第2段階で行うのはあくまでも準備協議。離脱からFTAの発効までの期間をカバーする移行協定も、この段階で協議する。

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