生配信のギフティングに熱狂する人達の心理

前田裕二社長「現代で完成品はいらない」

「誰もが平等に機会を得て、努力でスターダムにのし上がれる世界をつくりたい」と話すSHOWROOMの前田裕二社長(記者撮影)
ライブ配信プラットフォーム「SHOWROOM(ショールーム)」をご存じだろうか。同サービスの演者は、AKB48をはじめとしたアイドルからモデル、声優、一般の素人など、活用している層の幅は広い。
ユーザーは、アバターになってそれぞれの演者の部屋を訪問し、双方向のコミュニケーションを楽しめる。同じようなプラットフォームは複数あるが、ショールームは観客が演者に対して「ギフティング」という無料・有料の応援を行える点で人気を博している。
DeNAの新規事業として2013年にスタートし、2015年に分社化されたショールームの社長を務めるのは、前田裕二氏(30)。UBS証券で機関投資家向けの株式セールスアドバイザリー業務に従事した後、DeNA社に入社して本事業を立ち上げた。中国を筆頭に、アジア圏ではライブ・ストリーミング・サービスはすでに盛んになっているが、前田社長は「日本でもソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の次に来るビッグウエーブになると確信している」という。

アメリカで見た、中国の巨大サービス

――外資系投資銀行から転身して、ライブ・ストリーミング・サービスを日本で始めようと思ったきっかけは、どのようなものだったのでしょうか。

前職時代にニューヨークで勤務していたとき、中国で展開されているYY直播 (ワイワイ・ジーボー)というライブ・ストリーミング・サービスの存在を知ったことでした。この会社は、2011年末にYY Inc.としてNASDAQに上場したのですが、年商で数百億円、時価総額で1兆円近くつけていた時期もあって、爆発的な収益性がありました。

その中身を見てみたら、ほとんどがパフォーマーに対する観客からギフティングだったのです。私自身、幼い頃に路上で弾き語りをして道行く人からギフティングをいただくことで生計を立てていたこともあり、強い関心を持ちました。

また、日本にはAKB48が活躍して実績を作っていて、アイドルに対して直接課金する消費文化がすでに存在したことも大きかった。コンテンツの対価としてではなく、純粋に「応援したい」という感情で課金するということが現実世界で起きていたため、これをオンラインの市場にリプレースできる下地がありました。AKB48はある意味、選ばれた人たちの世界ですが、オンライン・ストリーミング・サービスであるSHOWROOMはどんな人に対してもチャンスが開かれています。

――SHOWROOMを初めて見たときは、女の子がとりとめもない「おしゃべり」をしているという印象で、これがコンテンツとして成立するのか、と軽い衝撃を受けました。しかし、「ギフティング」と呼ばれる課金は年々額を増やしていますね。

それは「クオリティ」の中身が、かつてと今では大きく変わってきているということだと思います。現代において重要なのは、完成度ではありません。

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