MBAが教える「いつも決断を誤る人」の3特徴 「意思決定の罠」を避け、バランスをとる方法

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落とし穴のその1は、間違った情報をベースに意思決定することです。

たとえば転職先を選ぶにあたって、伝聞で「A社はブラック企業」という情報を得たとします。仕事の魅力度やスキルのフィット感はあっても、その情報が気になってA社を選択肢から外すという人は多いでしょう。

しかし、その情報は単なるうわさにすぎなかった、あるいはそれは数年前の話で、急速にA社の職場環境が改善されていることが後でわかったりしたら、後悔することになります。

こうしたことを避ける鍵は、メディアリテラシーを高めること、身近に信用できる情報源たる知人を持つこと、そして健全な批判的精神を持つことです。

メディアリテラシーは端的に言えば、メディアで流れる情報の真贋を見抜く力です。それを高める手っ取り早い方法は、常日頃から複数のメディアに触れて多面的に情報を収集し、立体的に状況を把握すること、そしてそのメディアや情報発信者の癖を知っておくことです。

メディアや情報発信者にはそれぞれの立場や「大人の事情」というものがあります。また、それぞれの情報発信者が友達関係であったり師弟関係であるということも少なくありません。そうしたことを理解すると、どの程度までその情報が信用できそうかがわかってくるのです。

ただし、メディアリテラシーを高めたところで、ネットですら公開されない情報も多いものです。そういう時に役に立つのが個人的に信用できる人間のネットワークです。単にその分野のことについてよく知っていたり勉強熱心というだけではなく、あやふやなことは口にしない、事実と個人的見解、伝聞をしっかり峻別して伝えてくれる――そうした友人、知人は大切にしておきたいものです。

いずれにせよ重要なのは健全な批判的精神です。何か違和感を抱いたら、「それって本当?」と問いかける癖をつけましょう。また、そもそもそうした違和感をタイムリーに持てるよう、常日頃から好奇心を持って情報収集したり、最新の情報を自分で調べてみるという習慣づけをすることも大事です。

バランスの悪さを解消する

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落とし穴のその2はバランスの悪さです。これは大きく、視野が偏っているということと、価値判断(判断基準)のバランスの悪さに分けられます。

まず視野の偏りですが、これは人間である以上、必ずつきまとうものです。世の中の森羅万象を知ることはできませんし、また、いちいちすべての情報を集めていては非効率です。ビジネスはスピードとの競争という側面も大ですから、限定された情報から意思決定するのはある意味やむをえません。

問題なのは、それがあまりに偏るケースです。もともと人間には「都合のいい事実だけが目に入り、都合の悪い事実は目に入らない」という習性があります。たとえばビジネスパートナーを選ぶ際に、X社については良いところだけを見て、Y社については悪いところだけを見ていたら、本来Y社のほうが良いケースでもX社を選んでしまいます。

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