マクロン大統領が抱える「深刻な3つの問題」 フランス大統領選挙の世界史的な意義
2017年はヨーロッパの選挙イヤー。3月のオランダに始まり、5月のフランス、6月のイギリス、9月のドイツ、そしておそらくイタリアがそれに続く。
「世界の見え方が変わる大統領選挙」になった
その中でも、天王山がフランスだ。歴史のある民主主義国で、EUの中心国であるだけでなく、歴史的に政治の振り幅が大きく、国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン氏の躍進もあり、大統領選に注目が集まった。世界的にも、EU離脱を決めたイギリスの国民投票、アメリカのドナルド・トランプ大統領の選出に引き続く政治的なイベントであることから、なおさらである。
2016年のイギリス国民投票の時と同様〔東洋経済オンラインでの寄稿は3本。「英国はEU離脱で『のた打ち回る』ことになる」、ほかの2本はこちら(2)(3)〕、今回の選挙に際しては、フランスの田舎を回った。いわゆるフランス版の「ラストベルト」で見えてきたのは、地域、階層、世代その他多くの属性に沿って、グローバル化の下でフランス社会に走る深い断層だ(なお朝日新聞Globe紙におけるルポも参照されたい)。
今回の選挙は、そうした社会経済構造を背景に実施された。決選投票の結果は、中道「前進!」の若き指導者エマニュエル・マクロン氏が66.1%の票を得、33.9%のマリーヌ・ルペン氏を下し、任期5年の大統領の座を射止めた。
結果自体は大方の予想どおりだが、この選挙には大きな意味がある。やや大げさに言えば、「世界の見え方」が変わる選挙であった。ここでは、まずこの選挙を素のままで振り返ってみよう。そのうえで、なぜそうなったのかという背景、どのような(世界史的)意義があるのか考察し、今後を占う。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら