マクロンとルペンは「防衛政策」に大差がある フランスを「守れる」のはどちらの候補か
いよいよ5月7日に決選投票が行われるフランス大統領選。4月23日に行われた第1回投票は、投票率78.7%で、社会党の予備選挙には参加せず、「左派でもなく右派でもない」という新しい政治運動「前進」を立ち上げたアウトサイダー的存在であるエマニュエル・マクロン前経済相が、24%を獲得し、得票率21.3%を獲得した極右政党「国民戦線(FN)」のマリーヌ・ルペン氏とともに決選投票へ進むことになった。
マリーヌ・ルペン (極右「Front National 国民戦線」): 21.30%
フランソワ・フィヨン(右派「Les Republicains, LR 共和党」): 20.01%
ジャンリュック・メランション(急進左派「France Isoumise 服従しないフランス」): 19.58%
ブノワ・アモン(左派「Parti Socialiste, PS 社会党」):6.36%
ニコラ・デュポンエニャン(右派「Debout la France, DLF 立ち上がれフランス」): 4.70%
この第1回投票では、現在までの2大政党である共和党(LR)と社会党(PS)が敗退し、極右(ルペン氏)と極左(メランション氏)が台頭したこと、そして1年前に立ち上げられた「前進」が、影響力のある政治・経済界人の支持を次々と集めたことが注目された。国民が今までのシステムに不満を抱いており、反システムへと票が流れたと言える。
「2つに分断されたフランス」が明確に
また、「2つに分断されたフランス」が明確となり、失業率の高い地方や労働階級層におけるルペン支持が台頭していることや、北東部や南部ではルペン氏、西側や都会ではマクロン氏、という構図が明確になった。
4月28日夜には、第1回投票において4.7%の得票率で6位となったデュポンエニャン氏が、「マリーヌ・ルペンを支持する」と述べ、翌29日には両氏が合同記者会見を開いて政治的合意に至ったと表明。ルペン氏が大統領になった場合、デュポンエニャン氏が首相に任命されることが伝えられた。
元UMP(国民運動連合:現在の共和党)で、ド・ゴール主義・国家主権主義のデュポンエニャン氏が率いるDLF(立ち上がれフランス)が、FNと手を組んだことはショックな事件となった。が、DLFとの提携はルペン氏にとって、父親の時代から受け継ぐ「危険な極右政党」というレッテルを貼られているFNのイメージ改善につながる。また、デュポンエニャン派だけでなく、決選投票でマクロン氏に投票することを躊躇するフィヨン派を取り込むことも期待できる。
反グローバリゼーション、反EU(DLFとの提携により、ユーロ離脱に関しては優先的課題ではなくなっている)、保守主義、そして愛国主義を掲げるFNは、メランションの支持者にも決選での投票を呼びかけ、マクロン氏のエリート主義やグローバリゼーション主義を批判しながら5月7日に向かって攻勢をかけている。
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