納得!「料理キット」が売れ続ける根本理由 別に手抜きがしたいワケじゃない

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「ジューシーそぼろと野菜のビビンバ」の中身。(撮影:今井康一)

人気商品「ジューシーそぼろと野菜のビビンバ」・「小ネギとのり、豆腐の韓国風スープ」のセットは2人前で1274円。ビビンバ用食材は千切りにんじんやえのき、下味を付けた合いびき肉、温泉卵、化学調味料無添加のナムルだれなどが入っている。ご飯は利用者が用意。韓国風スープは、絹ごし豆腐と小ねぎなど具材が入っていて、中華だしやごま油は利用者が用意する。

「自分で作ったものと変わらない」という感覚

同封されたレシピの裏面には、自分で作る場合の温泉卵、ナムルだれなどのレシピも掲載。食べたことはあるが作り方を知らない料理について、作り方と、必要な食材がわかるようになっている。私も作ってみたが、自分でやる作業がそれなりにある一方、レシピが詳しいので、通信教育による料理教室に入ったみたいだった。調理に要した時間は20分。

商品開発を担当する菅美沙季氏は、「小松菜をカットする、炒めるといった作業をさせることで、自分が作ったものと変わらない、と感じてもらうことが大事」と説明する。加工食品を使うと、罪悪感を覚える人が多いからだという。

らでぃっしゅぼーやの「私が仕上げる10分キット」。1番人気は「彩り5種野菜の黒酢酢豚」(撮影:今井康一)

らでぃっしゅぼーやの商品は対照的だ。最優先させたのは調理工程の短縮で、商品名はズバリ、「私が仕上げる10分キット」。中には下処理済み野菜などの食材と合わせ調味料、レシピが入っている。定番料理と、DINKSや年配層をターゲットにした「PRIME」シリーズが主菜のみで、今年3月から、主菜以外の材料をそろえる「彩菜セット一汁二菜」が登場。10アイテムあるキットは、主に会員に毎週配布するカタログで販売する。

「彩り5種野菜の黒酢酢豚」の調理後(写真提供:らでぃっしゅぼーや)

1番人気の「彩り5種野菜の黒酢酢豚」は2人前で993円。同じ大きさにカットしたタマネギ、ピーマン、下ゆで済みニンジンなど野菜が一緒に入ったパック、カットし調味した豚もも肉のパックが、レシピと同梱されている。フライパンに油を敷き野菜を投入して炒め、豚肉を加えて仕上げる。調理に要した時間は10分弱だった。

包丁を使わず、ボウルなどの洗い物も出ないため、料理は楽。レシピは、文章とイラストの簡単なものだが、アレンジを前提に調味料が多めに入っていて、「ボリュームアップ食材」として長ネギ、レンコン、キノコ類を紹介している。料理は得意だが時間がない人向けという印象だ。

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