家族を振り回す「家庭内管理職」の迷惑な実態

退職後も影響力を行使したい人の精神構造

支配欲求も承認欲求も人一倍強いのに、満たされていないため…(写真:EKAKI / PIXTA)
<同居する父が、管理職だった有名企業を数年前に退職後、家でも管理職のように振る舞い、困っています>
という相談が読売新聞の「人生案内」に掲載され、『週刊現代』でも取り上げられたことで、「家庭内管理職」という言葉が脚光を浴びている。
「家庭内管理職」とは、定年退職後、自分が会社でどれだけ偉かったかを家庭内で力説し、家族を部下のように扱って、家族から愛想を尽かされる男性だという。最近増えているようで、精神科医の片田珠美氏も、「私の外来でも『家庭内管理職』の夫のせいで不眠や抑うつ気分などの症状に悩む女性が愚痴をこぼすことが多い」と語る。
自分勝手に行動する人の深層心理を鋭く分析し、『他人を平気で振り回す迷惑な人たち』を刊行した片田氏が、増殖する「家庭内管理職」の実態とその精神構造に迫った。

定年後の悲劇! 妻を悩ます「主人在宅ストレス症候群」

筆者の外来には近年、「家庭内管理職」タイプの男性に悩まされる患者が多く訪ねてくる。患者からの訴えは切実だ。以下、事例を紹介したい。

ある60代の女性は、夫が定年退職してずっと家にいるようになってから、体調を崩して通院している。夫は支店長まで上り詰めた仕事一筋の元銀行員。とくに趣味もなく、外出も嫌いなので、ずっと家にいる。暇なせいか、妻の家事のやり方にいちいちケチをつける。そのうえ、食器の洗い方や洗濯物の干し方、掃除機のかけ方や買い物の仕方など、銀行員らしいきちょうめんさで何かと細かいルールを決めて、それに従わせようとするという。ただ夫が家事を手伝うことはない。最近では、近所の人のゴミ出しにまで細かくクレームをつけ、煙たがられているようだ。

夫が銀行に勤めていたころは、何人も部下がいて、自分の命令ひとつで人を思いどおりに動かしていたらしく、「同期でいちばん出世した」と口癖のように言う。定年退職後は自分が部下の代わりにされていると妻は感じており、正直なところ、うんざりしている。

この妻は、典型的な「主人在宅ストレス症候群」に罹患(りかん)していると筆者は考える。夫が定年退職して一日中家にいてストレスを与える存在になり、妻が心身に不調を来たす。筆者の外来に通院する患者にもこの症状に悩む人は多い。

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