あの鴻海・郭台銘がトランプを意識し始めた

シャープを買った豪腕経営者が放つ大胆投資

鴻海の郭台銘会長はライバルの韓国サムスンを追い落とし、米国やインドの広大な市場も標的にしている(撮影:Leon Suen)

2016年12月14日、「シャープが2017年に韓国サムスンへの液晶パネル供給をストップする」、とのニュースが流れた。シャープに資本参加した鴻海精密工業(HONHAI)とサムスンというライバル企業同士が一触即発に陥った。韓国メディアは”鴻海の奇襲”と見出しを付けて報道した。

「シャープ」というブランドを手に入れたことで、液晶パネル事業で鴻海グループの郭台銘会長が持つカードは、従来と比べてはるかに大きくなった。ライバルとの利害関係を洗い直し、市場での需給関係を計算したのち、顧客に対して値上げを宣言、特にサムスンに対しては、従来より2倍の価格を提示した。この顧客は失ってもかまわないと言わんばかりだ。これで郭会長は、市場の主導権を獲得し、業界に衝撃を与えた。

まず大型液晶、次に自動車分野に照準か

いまや「鴻海帝国」は、全世界に戦線を広げている。中国からインド、メキシコからチェコ、さらに米国での生産も計画している。世界各地の従業員は約125万人。従業員数で見ると、現在では世界最大の製造業だ。移動する司令塔である郭会長が行く先々では現地の産業に激震が走る。日本メディアは「鴻海流」という言葉で、郭会長の管理方式や仕事のスタイル、そして世界征服の野望を形容している。

その鴻海は2016年4月、1株88円、総額3888億円で、シャープの株式の66%を買収した。この一手はまず、サムスンを恐れさせた。そしてトランプ氏が米国大統領選挙で当選、世界の企業に向け製造拠点として米国への回帰を要求すると、鴻海は同年12月7日に次のような声明を発表した。

「鴻海は米国での潜在的な投資のチャンスを評価しているところで、それによって現地での業務を拡大したい。投資の内容に関しては今のところ未定だが、引き続き米国の関係機関と直接議論したうえで、ウイン・ウインの関係となることを条件に計画の詳細を公表する」。この声明は、近年ではシャープへの投資とともに、鴻海として最も重要な行動となるはずだ。

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