福島:エンジニアで就職した友達は、当然ですけど、エンジニアの仕事にだけ集中できるじゃないですか。会社の経営をやっていくと、どうしてもエンジニアとしてとがっている部分が削られてしまいます。それに、そもそも費やせる時間も少なくなりますしね。
仲:経営としての能力はついていくけど、プレーヤーとしての能力は落ちていくということは私も感じる。でも、スタートアップという流れに乗った以上、戻れないから、今はそれを楽しむようにしています。福島くんは企業に勤める同期がうらやましいですか? タイムマシンで戻れたら、就職を選びますか?
福島:いや、それはないですね。やっぱりこれでよかったですよ。
仲:よかった(笑)。
人の成功体験は参考にならない
仲:今、サービスを展開していて気になることって何ですか?
福島:そうですねえ。サービスって最初はすごくニッチなところから始まって、刺さったら、ビジネス拡大するのにいちばん大きなボリューム層に行きますよね。けれど、どこの会社も苦しむのが、大きなボリューム層に行くには、変わっていかないといけないわけですけど、変われないってところですよね。ニッチな層に刺さった成功体験にこだわってしまうと、意思決定が鈍るなって。
仲:方向転換するときに、いちばん捨てなければいけないものって何でしょうね。
福島:こうやったから成功したんだって思う成功体験は、捨てたほうがいいですよね。それって表層に現れている事象にしかすぎないじゃないですか。裏にもっと大きな背景や理由があるので、そこを考えないと。Gunosyのサービスで言うと、最初は情報量もいっぱい見せていたけど、ユーザーに合った情報に制限して、画像中心のレイアウトに変えようとしたことがありました。
そのときに社内では「え! デザイン変えるの? 情報量を多くして、うまくいっていたのに……」という議論がありましたね。決めないと進まないというときに、どう決めるかですよね。納得できる説明ができるかということも大きいと思いますよ。全員がこんな風に変えていいのかと迷いながら作ったものって、大抵、失敗するんで。
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