店頭在庫をネットで公開する。顧客は、電話で問い合わせなくても在庫の有無がわかる。欲しい商品があるとわかれば、顧客は急いでその店舗に向かう――。店頭在庫から顧客を誘導するのも立派なO2O(オンライン・ツー・オフライン)。実現したのが、東急ハンズだ。
東急ハンズのITコマース部、緒方恵氏は話す。
「店頭の在庫情報を公開すれば、来店喚起につながる。消費者の反応も非常にいい」
2012年12月、東急ハンズは自社のネットストアを大幅にリニューアルした。ネットストアの在庫情報だけでなく、リアル店舗の在庫も確認可能にしたのだ。消費者が、ネットストアで欲しい商品を検索する。すると、商品情報とともに、現在、在庫がある店舗が一覧で確認できる。ポイントは、データ更新の頻度。なんと15分に1度というから驚く。ほぼリアルタイムと言ってよい。
全国の店舗で売れた商品を、即時に表示する機能も追加した。ネットストアのトップページ上部には、「今、コレ売れました!」と全国の店頭で、たった今、レジを通過した商品画像が流れるように表示されていく。これまた、ほぼリアルタイム。各店舗のPOSシステムと連動している。商品画像をクリックすると、商品ページが表示される。
ネットストアの商品ページでは、商品説明、在庫のある店舗の一覧のほか、各リアル店舗での売れ行きランキングも確認できる。たとえば、Aというすりおろし器が、新宿店の調理器具部門で9位、川崎店の同部門では18位というような情報だ。
クーポンよりも、実用性やワクワク感
店舗の商品在庫の公開は、東急ハンズのO2Oの基本戦略「ネットとリアルのシームレス化」に沿ったものだ。ネットとリアルでサービスを連携、統合し、顧客満足度を上げる戦略を考えている。
ネットストアとリアル店舗では、会員情報、ポイント情報、商品情報を連携させている。現在、会員数は約400万人。貯めたポイントは、ネットストア、リアル店舗両方で利用できる。ネットストアのマイページでは、ネットストアだけではなく、リアル店舗で購入したものも一覧で確認できる。
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