南京大虐殺と、“日本人”としての娘の戦い

私と両親と娘にとっての「現代史」

南京大虐殺記念館のチケット売り場で、娘は英語でチケットを買った。そうして、中に入っていきなり目についたのが、「犠牲者30万人」の掲示だった。これには、正直驚いた。

(写真:AP/アフロ)

記念館は2007年に大幅リニューアルされているので、以下の記述は今とは異なっているかもしれないが、資料館に入ると、まずガラス張りの「万人坑」遺祉の遺骨の展示があった。これは、大虐殺を受けた人々の人骨ということだが、全部レプリカだ。そして、延々と旧日本軍の残虐行為や抗日戦争に関するパネルと資料の展示が続いていた。

日本人なら知っている“捏造写真”も堂々と飾られていた。百人斬りの展示もあった。そういう展示を見ながら、娘は英語で「ひどいよね。ウソばっかりでしょ」と言った。

「日本人は鬼だ」

記念館には、大勢の中国人観光客にまじって、近所の小学生の一団が、教師に連れられて見学に来ていた。展示物の前で、教師が子供たちに何か説明している。

それで、娘に何を言っているのか聞くと、「あなたたちのおじいさん、おばあさんの中には、このように日本軍に殺された人もいますと言っている」という。さらに、見学者が記帳するノートに何か書いていたので、あとからそれを見ると、「日本人は鬼だ」「日本人は皆殺しにせよ」と書いてあると娘が教えてくれた。

「こんなのもう見慣れているから、驚かない」と、娘は続けた。

南京大虐殺が捏造であるかどうかはここでは問わない。しかし、現実問題として、中国では、史実として語られているのを改めて思い知った。

私が中国語がわかれば、きっともっと気分が悪くなっていただろう。

しかし、資料館で説明を聞いていた地元の子供たちは、無邪気なもので、広場に出るとお弁当を食べたり、写真を撮ったりしてはしゃいでいた。遠足といえばそれまでだが、少なくともワシントンにある米国国立ホロコースト記念博物館では、こんな光景は見たことがなかった。

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