若者にワークライフバランスなんていらない 城繁幸氏と考える「日本に依存しないキャリア」(中)

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 グローバル化の進展により、国の枠を超えて活躍する「グローバルエリート」が生まれている。しかし、そのリアルな姿はなかなか伝わってこない。グローバルエリートたちは何を考え、何に悩み、どんな日々を送っているのか? 日本生まれの韓国人であり、国際金融マンとして、シンガポール、香港、欧州を舞台に活動する著者が、経済、ビジネス、キャリア、そして、身近な生活ネタを縦横無尽につづる。

 (司会・構成:佐々木紀彦)

――今回の「グローバルエリートは見た!」は、人事コンサルタントの城繁幸さんを特別ゲストにお迎えして、対談形式で進めていきます。

テーマは、不況が続く日本の中で、国内だけに依存しないキャリアをどう築くか、です。ムーギーさんには、シンガポールなど海外の視点から、城さんには国内の視点から、幸せなキャリアを築くために大事なことについて、語っていただきたいと思います。

※ 過去の対談はこちら:

(上)手足を切るような"大リストラ"が始まる

誰でもできる仕事は、日本から消える

ムーギー:最近は、参入障壁のない仕事をやってしまうと、グローバルな競争に巻き込まれてしまって、インドや中国の人たちとの戦いになっちゃうんですよね。彼らは賢いうえ努力家だから、何でもかんでもすぐに学んでしまう。私が今住んでるフランスでも、夜9時以降や週末に開いてるのは中華料理屋かインドカレー屋くらいで、平均年間休暇8週間のフランスにいると「アジア人は頑張っとるな」と実感するわけです。

1つ面白いエピソードを紹介すると、先日、新日本プロレスの木谷高明会長にインタビューをさせてもらったんですが、そのテープ起こしをどうしようか困っていたんです。そしたら、いつもはコストに厳しい新米編集長が、「テープ起こしはこちらでやりますよ」と快諾してくれたんで不思議に思ったら、今は中国に音声ファイルを送ると、1週間くらいでテープを起こしてもらえるそうなんですよ。しかも、激安価格で。

:そうなんですか! でもそうなると、フリーライターの人は失業してしまいますね。取材などで編集者にひっついてきて、テープ起こし代わりにまとめるという仕事が国内から消失してしまうわけで。

ムーギー:そういうことなんですよ。つまり、テープ起こしのように、時間があれば誰にでもできるタイプの仕事は、全部グローバルな戦いが起きて、日本からなくなってしまうわけです。

たとえば金融業界でも、財務モデルの基本となる雛形を作ったり、財務モデルに数字を入れたりする仕事は、随分前からインドのオフィスにかなりアウトソースしています。今までは、日本で若手のアナリストにやってもらっていたんですが、インドなら日本の10分の1のコストでできてしまう。だから単純労働をやっている人は、これからますます厳しくなりますね。

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