村上隆(上)「世界で勝つには、勘・挨拶・執念」

アートの世界で、僕が生き残れている理由

日本の新しいモデルを創る「新世代リーダー」とはどんな人なのか。どんな能力、教養、マインドセット、行動が必要となるのか。国内外のリーダーを知り尽くした、各界の識者たちに「新世代リーダーの条件」を聞く。
第4回目は、現代美術の世界でグローバルに活躍する、アーティストの村上隆さんに、世界で勝つために重要なことは何か、について聞く。

 

あいさつが重要な理由

――村上さんのように、世界の一流たちに食い込み、世界の第一線で活躍するために大事なことは何でしょうか。

勘を鍛えて、上手なあいさつを身に付けて、ルールをスキャンすることです。世界で勝つためには、勘のよさが大事。私は、英語がうまかったり、高くて良い弁護士がついているわけでも、すごい人的ネットワークを持っているわけでもありません。ただ、各局面で勘所を見抜き、勘所のみに集中して、白黒のジャッジを下すようにしてきました。そして、勘が鈍らないよう、つねにトレーニングを続けています。それが、失敗しないで生き残れている理由だと思います。

――村上さんは、会社のスタッフにも、あいさつの訓練を徹底しています。そこまであいさつにこだわるのはなぜでしょうか?

あいさつというのは人間関係の前提状況を造る設定です。あいさつを交わすことによって、場が設定され、事物の進行の前提状況ができます。そのときに、勘のいい人間は、相手と自分の距離を瞬時に測ることができます。

実は今、『子連れ狼』がマイブームで、再販版を読んでいるのですが、主人公からして、幕府が雇う「介錯人」、つまり首切り、ですから。それが柳生一族との抗争に巻き込まれ、必死の世界の中で勘を頼りに生き残っていくお話ですが、つねに、人間の機微と対峙し続け、人間関係の間合いに勝機を探し続けています。殺し合いの世界でないところでも、同じようなことは当てはまるわけです。

僕はアメリカで長く仕事をしていますが、その際に大切にしているのは、自分の社会人としての設定、つまり、「マイノリティで日本から来たアーティスト」という設定を明確にすることです。そうした謙虚な気持ちから入って、下手な英語でもベラベラしゃべっていたら、相手も謙虚な人間に対する礼節を思い出して接してくれます。

だから、「スキルが高ければいい」という成功例ではありません。英語のスキルが低くとも、 日本人としての礼節のスキルを上げることによって、コミュニケーションがスムーズにいき、ビジネスの気持ちの部分で、接合できる部分が広くなるということです。そうした体験を多くしてきたので、それを他の人にもレコメンド(推薦)しています。

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1976年に創業し、90年代の渋カジブームを牽引したビームスが今も元気だ。創業以来赤字知らず。40年、最先端を走り続けられる秘密は何か。設楽洋社長への独占インタビューを掲載。