手足を切るような”大リストラ”が始まる 城繁幸氏と考える「日本に依存しないキャリア」(上)

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グローバル化の進展により、国の枠を超えて活躍する「グローバルエリート」が生まれている。しかし、そのリアルな姿はなかなか伝わってこない。グローバルエリートたちは何を考え、何に悩み、どんな日々を送っているのか? 日本生まれの韓国人であり、国際金融マンとして、シンガポール、香港、欧州を舞台に活動する著者が、経済、ビジネス、キャリア、そして、身近な生活ネタを縦横無尽につづる。

(司会・構成:佐々木紀彦)

――今回の「グローバルエリートは見た!」は、人事コンサルタントの城繁幸さんを特別ゲストにお迎えして、対談形式で進めていきます。

テーマは、不況が続く日本の中で、国内だけに依存しないキャリアをどう築くか、です。ムーギーさんには、シンガポールなど海外の視点から、城さんには国内の視点から、幸せなキャリアを築くために大事なことについて、語っていただきたいと思います。

外資金融、コンサルの撤退組が急増

ムーギー:外資金融やコンサルで働く、私の周りの人たちを見ていると、私と同じ35~36歳くらいの年齢で、業界からの撤退を余儀なくされる人が最近ものすごく多いんですよ。

たとえば、日本のゴールドマン・サックスとかヘッジファンドとかでブイブイ言わして、家賃が月200万円ぐらいするところに住んでいる人たちが、コスト高と日本のマーケット縮小を理由に、クビになっている。この人たちは、今まで日本の市場ばかりを見てきて、中国株やアジアの市場に詳しいわけではないので、40前とかで海外に行こうと思っても難しいんですよ。

日本のマーケットがいいときには、よかったんだけれども、マーケット自体がなくなってくると、こういう人たちは会社にとってコスト高になってしまう。

ただ、クビになった人でも、タイプは主に2つに分かれている。会社にいる間に、お客さんとしっかり信頼関係を築いている人および、実力があっても政治的理由でクビになるリスクが多いことを知っていて“高い自分の給料を見てはいつか来る解雇に備えてる人”は、そのお客をスポンサーとして、新しいファンドを自分で立ち上げたりしている。一方、そういうコネのない人は、今さら他の会社にもいけないので、独立も転職もできていない。リーマンショックでクビになって、その後ずっと、ズルズルと貯金を食いつぶして生きている人もいる。

――後者のタイプの人たちは、もう仕事はしていないんですか?

ムーギー:働いていない人も多いんだけど、それは長年業界にいたラッキーな人たち。まだ古きよき金融の時代を20年くらい謳歌した人は、過去何回かあったバブルでしこたま貯め込み、また勤続年数も長いので退職時にもらえるパッケージもいまだに億を超えたりする(参考に言うと今は月収の3~6ヵ月分程度)。

また投資銀行で長らくマネージングディレクター(MD)レベルで個人的ネットワークを築いている人の場合、在職時に築いたネットワークを活かして、アルバイト的にディールの仲介をすることで、紹介料をもらっている人もいる。

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