自動車株を最も動かす言葉は「駐車」だった ツイッター解析が示した事業環境の底流

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EI社は、日立製作所や日本のヤフーでの勤務経験がある、香港出身のエルマー・ジュリアン・ブローディ最高経営責任者(CEO)が2012年に立ち上げた。同CEOが株価予測研究の一環として開発した、リアルタイムで投資家心理を推定するアルゴリズムを持ち味としている。

株式市場に響く言葉は日々刻々と移り変わる (写真は東証アローズ、撮影:尾形文繁)

当初はブログやニュースメディアから、自動で人気キーワードを割り出していた。ただ、「多様性が必要」(山本氏)との観点から、現在の集計元はツイッターに設定している。フェイスブックやインスタグラムも対象としたいところだが、商業利用が認められていないという。

キーワードが影響する対象として、個別の株価ではなく出来高を使う理由について山本氏は、「同業企業の株価は似通った動きをすることが多く、日々の上下動には目に見える差異が生じにくいため、分析が難しい」点を挙げている。

流行り言葉が示す「真実」

夜のニュース番組では、その日ツイートされた言葉のランキングを基に、ニュース項目の優先順位をつける光景を見かける。報道関係者の主観ではなく、注目度に応じた公平な形でニュースの扱いを決めているわけだ。

流行り言葉で市場動向を読み解こうとするのは、稚拙で乱暴に見えるかもしれない。だが、経済も株価もあくまで、人間が動かすもの。直感的な言葉であったとしてもデータに裏打ちされていれば、底流を読み解くヒントや株取引の材料として、説得力を持ち得る。

駅 義則 東洋経済オンライン編集部

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えき よしのり / Yoshinori Eki

1965年、山口県生まれ。1988年に時事通信社に入社し、金融や電機・通信などの業界取材を担当した。2006年、米通信社ブルームバーグ・ニュースに移ってIT関連の記者・エディターなどを務めた後、2015年9月に東洋経済オンラインのエディターに。現在の趣味は飼い主のない猫の里親探し

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