松下幸之助は叱られる側の心情も考えていた

心の重さ、気まずさは叱った側も感じている

厳しく叱った後は、気まずさが胸をよぎる(撮影:高橋孫一郎)

もう遅いから帰れと言われて帰る途中で、やはりついさっきまで言われ続け叱られ続けたことが頭の中を駆けめぐり、申し訳なかったという思いが胸に広がる。心が重くなる。もっと反省の気持ちを表現すべきだったのではないか。あれほど心をこめて叱ってくれたのに、このままにしておいていいのだろうか。どうしようか。

思案するうちに「そうだ、明日の朝早く、もう一度行こう。そしてもう一度、お詫びをしよう」と思うようになるのが常であった。

翌日の早朝に謝りに行った

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翌朝、私は7時ごろ松下の寝室を訪ねる。まだ眠っているときもあったが、目を覚ますのをベッドのそばの椅子に腰かけて待つ。やがて目を覚ました松下は、わたしがあいさつをすると、にっこり笑って、「えらい早いな。何か用か」と言う。

「いえ、昨日は申し訳ございませんでした。おっしゃるとおりで、つくづく反省しました」と答えると、「いや、わかってくれたか。それでいい。あんまり気にせんでええよ」と返してくれた。

その瞬間、いっぺんにそれまでの気まずさは消えてしまう。あとは笑顔で雑談ということになるのであった。

このように私は、厳しく叱られた後は必ず翌日の早朝に松下を訪ねてお詫びすることにしていた。つねに松下との間に気まずさを残さないようにしたのが、23年間、仕え続けることができた理由のひとつかもしれない。

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