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左派が反緊縮でなく「消費増税に賛成」する理由 「道徳」として語られてしまいがちな財政問題

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佐藤:レイも「(公共目的の達成を)よりうまく実行できるのが、民主的な政府であると長らく考えられてきた。しかしながら、どのような形の民主制が採用されるべきかは明白でない」と述べました(363ページ)。遠回しな表現ですが、民主主義に懐疑を呈している。

中野:まあ、選挙でトランプが選ばれているのをみたら、そうもいいたくなるかと(笑)。

MMTは世界政府型グローバリズムを肯定する理念である

佐藤:同時に提起したいのは、MMTは反新自由主義だが、反グローバリズムではない点。例えば世界政府が樹立されて、単一通貨のもと積極財政を行っても、政治的主権と経済的主権が一致している以上、問題はありません。いや、国家間の経済格差が是正しやすいぶん、そのほうが現在の主権国家システムよりも望ましいことになるでしょう。

佐藤 健志(さとう けんじ)/評論家、作家。1966年、東京都生まれ。東京大学教養学部卒業。戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』(1989年)で文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を受賞。『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋、1992年)以来、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開。主な著書に『僕たちは戦後史を知らない』(祥伝社)、『右の売国、左の亡国』(アスペクト)など。最新刊は『平和主義は貧困への道』(KKベストセラーズ)(写真:佐藤 健志)

『MMT現代貨幣理論入門』の6章では、ユーロの問題が論じられています。ユーロこそは、政治的主権から経済的主権を切り離すと大変だという見本ですが、ナショナリズムの立場を取るのであれば、EU各国に通貨発行権を戻してやる(=既存の政治的主権に合わせて経済的主権を再設定する)のが正しい解決策のはず。

ところがレイは、ユーロ圏を解体する手もあるとは認めつつ、「全ユーロ圏中央財務省」をつくって「より完全な統合」を目指すほうに、明らかに肩入れしている。要は経済的主権の規模に合わせて政治的主権を再設定し、EUを1つの国家にまとめろと主張しているのです(345〜350ページ)。

この発想が、「EUグローバリズム」でなくてなんなのか。MMTはナショナリズムの肯定にも使えますが、世界政府型グローバリズムを肯定する理念でもあるのです。

:ユーロ問題についての結論部分については、私は「だからやはりEUは難しいのではないか」と解釈しました。佐藤さんもおっしゃるように、素直に考えれば「主権国家の枠に合わせて、通貨発行の主権も決めるべき」ということにならざるをえないと思うんです。

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【通貨主権の議論はどのように解釈するのがよいか?】

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