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MMTをめぐる議論で欠けている「供給力」の視点 完全雇用をめざす「就業保証プログラム」問題

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柴山:MMTの提唱者は、レイやケルトンを含めて民主党左派なので、移民に関しては寛容な立場だと思うんですよ。今の左派は思想的に2つの柱があって、1つは福祉を拡充する「大きな政府」の志向、もう1つは移動の自由を普遍的な権利として認める「グローバリズム」です。ただ、この2つを同時に追求すると、政府支出が際限なく拡大してしまうおそれがある。

それを避けるには、福祉の対象をあくまで「国民」の範囲に限るという国民国家の原則を、現実的に取らざるをえないと思うんですが、そうなると右派の主張に近づいてしまうので、そこは民主的な決定に任せると言うほかないのでしょう。でも民衆はトランプを選んでしまったりするわけで(笑)。いずれにせよ、JGPはMMTから導かれる必然というより、著者の政治的な立場から導かれた主張というふうに見えてしまいます。

佐藤:「JGPを提唱しない者はMMT論者にあらず!」というぐらいの勢いですよね。資本主義経済の中に、社会主義的なセクターをつくりたがっている印象を受けます。

垣間見える著者の理念

中野:ただ完全雇用は別に左翼の専売特許ではないですよ。創出される雇用は介護であってもいいし、軍隊であってもいい(笑)。その意味ではMMT自体、政治的には本来、ニュートラルな理論です。

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:MMTが非思想的な理論であるとすると、では何を政策目標とすべきかという話になりますよね。著者はケインズ風に「完全雇用と物価安定」と言っているけれども、私が読んだ印象では、ある種の動機づけをすることによって、人々の活力を引き出すという理念があるのかなと感じました。

中野:それはありますね。だから、ベーシック・インカムには反対している。

:人々や社会には隠れた力があり、それを政府が納税制度や雇用プログラムなどいろいろな手段によって引き出していく。著者は要は「財政が政策の制約にならないのなら、政府はもっといろいろなことができるはずだ」と言いたいのでしょうね。

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