高市早苗首相が衆院予算委員会で、台湾有事をめぐる答弁をしたのは2025年11月7日のこと。これを契機に日中関係が冷え込んでから丸1年が経過した。
政治的な対立に加えて、両国の交流はすっかり細くなりつつある。中国政府は自国民に日本への渡航自粛を呼びかけており、日本政府観光局の推計によると、中国本土からの26年1~9月の訪日数は前年同期比で55.5%も減少している。
経済界の往来も細っている。日本経団連が11月中旬に予定していた小規模な訪中団も中国側から延期を求められたことで、10月26日には先送りが決まった。
文化交流は、変化がさらに目に見えやすい。浜崎あゆみさんの上海公演をはじめ、日本人アーティストの公演中止が相次いだ。今年1月には上野動物園の双子のパンダが中国へ返還され、1972年以来初めて国内からパンダが姿を消している。
朝日新聞が26年5月に聞き取り調査をもとに報じたところによると、中国の重点大学27校のうち21校が、日本への交換留学を停止する意向を示したという。そこかしこで「冷え込み」が続いている。
そうした中で、文部科学省が所管する科学技術振興機構(JST)が14年度から進めている交流事業「さくらサイエンスプログラム」も、日中関係の冷え込みの影響をもろに受けている。
中国本土からの応募がゼロになった
さくらサイエンスプログラムは、アジア、アフリカ、中南米など148カ国・地域から、40歳以下の初来日者を短期間、招く事業である。対象は高校生や大学生、大学院生、若手研究者らだ。
日本の大学などが交流計画を立てて応募し、JSTが採択すれば渡航費や滞在費を支援する。期間は1週間から長くて3週間。研究室での体験やセミナー、企業見学などを通じて日本を知ってもらう。これとは別に「直接招へい」の枠もある。相手国の政府機関が推薦した高校生や若手行政官を、JSTが直接招くものだ。
JSTの集計データを見ると、変化ははっきりわかる。すでに申請・採択が終了している26年度は、中国からの申請は16人、採択は14人(一般応募)へと激減。しかも、すべて香港・マカオからの申請であり、中国本土に限ればゼロだった。
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