かつて日本のテレビドラマは、基本的に国内の視聴者を相手に作られていた。しかし、現在では配信サービスやSNSを通じて、作品の一部分だけが瞬時に国境を越えて拡散することがある。日本の視聴者が物語の流れの中で受け止めていた場面が、海外ではその文脈から切り離され、自国に対する敵意の表れとして解釈されることもある。日本の映像作品が海外でも気軽に見られるようになったことで、異なる歴史認識や価値観を持つ人々から評価を受けることが避けられなくなった。
今回の騒動について、中国の人々が単に日本のドラマの一場面を見て、それを悪く解釈したというふうに捉えるべきではない。なぜなら、日中関係の歴史的背景や現在の政治情勢を踏まえれば、中国系の組織が日本人に残虐な拷問を加える場面に対して、中国側から強い反発が起きることはある程度予想できたはずだからだ。少なくともそのような反応が起こり得るという認識は、制作の段階で持っておく必要があったのではないか。
TBS「外部の専門家から助言を受けていた」
TBSは今回の作品の制作にあたり、外部の専門家から助言を受けていたと説明している。そうであれば、なおさら気になるのは、日中関係の歴史的背景や現在の政治的な緊張をどこまで踏まえたうえで、今回の描写を選んだのかという点である。問題となった描写に関して、そのような政治的・歴史的な背景を十分に理解したうえでの表現上の必然性があったのかどうかは疑問が残る。
現実の世界を物語に取り込むのであれば、そこに存在する歴史や政治的な緊張から目をそらすことはできない。世界を舞台にした作品を作るのであれば、世界情勢についての深い理解が必要になる。
今回の騒動で問われているのは、単に残虐な場面を描くべきだったかどうかではなく、国際的なスケールの大きいドラマを作っている制作者が、それに見合うだけの世界情勢への理解と想像力を持っていたのかということなのだ。


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