特徴的なフレームのメガネを着用し、終始一貫して通る声による朗々たる説明。記者からの質問にはほとんど熊谷氏自らがマイクを握って回答していました。その姿や言葉の端々から滲み出ていたのは、強烈すぎる自分ファーストな論理です。
今回の会見は、熊谷氏自ら「謝罪会見」と呼んでいました。しかし、事態沈静化を目指すうえで一番大切な、被害者への寄り添いについて、言葉では発していてもその姿勢を感じることはできなかった印象です。「ポエム会見」と揶揄される反応はそれに起因すると考えられます。
もちろん同グループは、不正アクセス攻撃を受けて顧客情報が流出し、顧客資産の毀損という損害を与えられた被害者であって、悪いのは犯人です。しかしその犯人に対する強烈な怒りと敵愾心に満ちあふれる熊谷氏の姿勢は、謝罪会見として成り立っていなかったと言えるのです。
伝えるべきは犯人への怒りではなく、まず何より被害者や関係者へのお詫びであり、その人たちの不安や怒りに寄り添う姿勢です。優先すべきは、資産を奪われ、脅かされているユーザーの気持ちでしょう。
「報告を受けていない」という“政治家的弁明”の悪手
今回、同グループが批判されているのは、グループ内の専門家からセキュリティの脆弱性を指摘されていながら、十分な対策が取られなかったことにあります。山下浩史グループ副社長は「複数案件の優先順位を判断する中でリスク分析に甘さがあった」と説明。
熊谷氏は報告を受けておらず、取締役会に上げる基準も存在しなかったと説明したうえで、「私が介在すべきだった」と詫びました。


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