ここで問われるのは、「誰に向けて装うのか」ということだと私は考えます。
攻撃した側に向けるならば、毅然としたたたずまいが求められますが、被害を受けた方々に向けるなら、寄り添う姿勢が求められるわけです。しかし当然ながら、そのメッセージを一着で表現する必要があります。
これは、会見に限った話ではありません。例えば委託先のミスによって顧客に迷惑をかけた場合、自社として謝罪と説明に当たらなければならないことがあります。謝罪と説明を兼ねて顧客を訪ねる場面は、多くのビジネスパーソンに起こりえます。
こうした「誰に向けて装うのか」を考えるうえで、まず見落とせないのが、「無難」とされる服装の基準そのものが、時代とともに変わっていることです。
ファッション性の高いシャツが目立った登壇者
まず、シャツの襟について見てみましょう。いまビジネスシャツの主流は、襟の開きが広いワイドスプレッドです。かつては開きの狭いレギュラーカラーが基本でしたが、この20年ほどで入れ替わりつつあります。売り場に並んでいるのも、すでに襟が開いているものが主力です。背景には、ネクタイを締めない場が増えたことがあります。
つまり、売り場で標準的な商品を選んだ結果、ワイド系のシャツを手に取ることも珍しくありません。今回の会見でも、男性登壇者には、襟の開きが比較的広いシャツが目立ちました。
ワイドカラーを見慣れている人には、現代的でごく普通のシャツに見えます。一方、レギュラーカラーを長く標準としてきた人には、こうした会見の場では、ややファッション性の高すぎるシャツに映る場合があります。自分が無難だと思って選んだものが、相手にとっても無難とは限らないのです。


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