それでも、映像を見た多くの人が、年齢を確かめる前に「若手がやったことだ」と受け止めた。礼儀の欠けた振る舞いを見ると、それを若い世代に結びつけてしまう。そこには、この研究が示した認知のクセが働いていたのかもしれない。これは筆者の仮説にとどまる。
脱帽しなかった選手は「若手」とは限らなかった
ところが、ここで意外な点がある。報道やXのコメント欄で帽子を脱がなかったとして名前が挙がっている2選手の公式プロフィールを確認すると、いずれも30代前半の選手だった。特別若いという年齢ではなさそうなのである。
1987年4月2日〜2004年4月1日生まれの、一般に「ゆとり世代」とされる世代だが、プロ野球の世界では、もう若手とは呼べないキャリアを積んでいる。このズレが、議論をややこしくしているようだ。
このズレに驚いた人たちが「勝手なイメージで高卒の若い選手がやったことだから記事になんてするなよって思った」「若い人かと思って見てみたらベテランで笑えない」などと書き込んでいる。
心理学には、「期待違反理論」という考え方がある。人は、相手にふさわしいとされる振る舞いを無意識に思い描いていて、そこから外れると、通常より強い反応が起きる(※2)。
これに当てはめると、「若手のうっかり」だと受け止めていた人にとって、2人がキャリアを積んだ選手だったことは、年齢にふさわしいはずの振る舞いから外れた「期待違反」に映る。驚きの声が上がったのは、そのためかもしれない。


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