そのため、水素業界は三すくみ状態となっている。自動車メーカーは「FCVが売れないから、車両価格は高いまま」、水素ステーションなどの水素供給側は「FCVが少ないから、水素利用が少なく、水素の価格も高くなる」、そしてFCVの利用者は「FCVそのものも水素も高いので、FCVを利用しない」となる。
そんな状況ということもあり、現在FCVを販売する国産自動車メーカーはトヨタのみ。水素価格は1kg当たり2000円程度だ。
ちなみにMIRAIの燃費性能は、カタログスペックで152km/kg。2000円で152kmしか走れない計算だ。一方、ハイブリッドの「プリウス」は28.4km/L。ガソリン1リットルを170円で計算すれば、2000円で334km走ることができる。
水素を燃料とすると、ランニングコストが2倍以上となるのだ。水素価格を半額にしなければ、ハイブリッド車に勝てない。
そうした厳しい状況を覆すために打ち立てられたのが、水素大動脈構想と言えるだろう。乗用車がダメであれば、商用車を。しかも、ちょうど日野自動車からFCVトラックとなる「プロフィアZ FCV」が昨年10月に発売になっている。
大型トラックを定期運行させることができれば、水素の需要を生み出すことができる。需要があれば、車両も売れるし、水素ステーションも潤い、そして車両価格と水素価格が下がって、ユーザーもメリットが生まれる。現状三すくみを打破するアイデアとなる。
地方の期待と将来の目標
水素大動脈構想は、8月に福島でキックオフイベントが開催された。国や自動車メーカーだけでなく、大動脈の北の基点となる福島の地元の水素ステーションの業者や自治体などが参加。
取材してみれば、福島県の知事が参加するなど、地元の期待の大きさが感じられた。水素活用を通して、福島の復興も狙っているようだ。


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