水素大動脈構想とは、具体的にどのようなものなのか。これは、福島から東京、名古屋、大阪、広島、そして福岡までの日本の幹線道路に、水素を燃料とする大型FCトラックを定期運行させようという計画だ。
ポイントは、運送会社といったユーザーだけでなく、水素ステーション運営者という水素供給側、そして自動車メーカー、さらには地方自治体や国をも巻き込んだ計画であること。
もともとは水素関連の業界団体である一般社団法人 水素バリューチェーン推進協議会(略称:JH2A)が政府に政策提言を行い、それが受け入れられ、今年から本格稼働することになったものだ。
ちなみにJH2Aは、水素大動脈構想と同時に「水素1%調達宣言」という活動を進めている。これは、JH2Aの会員が自ら水素、または水素を利用した製品・サービスを「従来よりも1%以上調達・利用する」と宣言するものだ。
会員に自分ごととして意識させつつ、実際的な水素の普及を進めていくのが狙いとなる。
なぜ、今になって水素に注目するのか?
では、なぜ今になって水素普及のための計画が立ち上がったのだろうか。
大きな理由のひとつは、昨今の世界的な不穏さだ。中東からの石油輸入が滞ったことは、日本におけるエネルギーの安全保障を見直すきっかけになったと言える。そこで、中東に依存しないで済む、水素の存在に注目が集まったというわけだ。
もうひとつの理由は、なかなか進まない水素普及への不安だろう。トヨタが水素を燃料とするFCV「MIRAI」を市販したのは14年。さらに17年には日本政府から「水素基本戦略」が打ち出されている。
しかし、実際のところ、私たちのまわりで水素を利用するクルマを目にすることは、ほとんどないに等しい。
直近5年でいえば、日本におけるFCV乗用車の販売台数は、21年:2464台、22年:848台、23年:422台、24年:697台、25年:431台、26年:372台(1~9月の数値)と低調そのものだ。


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