撮影中は、まり子の側から夫を見ていた。
「私の撮影は主に柳楽さんと一緒で、ほかのシーンは知らなかったので、本当に『妻としてその場にいた』という感覚だったんです」
「愛情の形って、人それぞれなんだな」
完成した作品を観ると、川栄は竜二の側にも気持ちが向いた。妻子と、もう一つの家族。そのどちらも大切に思う夫の苦しさが見えてきた。
「『竜二もつらかっただろうな』『確かに、こういう選択もあるよな』と思いました。一方で、それを受け入れるまり子も、すごく寛大な人なんだなと思ったり。愛情の形って、人それぞれなんだなと思いました」
ヤクザ映画と聞けば、とくに若い世代には、自分とは遠い世界の物語に感じられるかもしれない。しかし川栄が作品から受け取ったのは、時代や設定を超えた、人と人との関係だった。


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