仕事の成果を通じて、自分がその立場にいる意味を示そうとした。同時に、自分一人が昇進するだけでは、会社全体は変わらない、とも考えた。
社内のネットワーク
当時、社内の女性管理職はごくわずか。奥村さんは業務で社長と会うたび、その最後に女性活躍について話し、女性が力を発揮できる場をつくるよう働きかけた。
数年後、社長室に呼ばれて「女性活躍に向けて何がしたいか」と聞かれ、女性管理職が交流し、経営層と対話しながら互いに学ぶ社内ネットワークがあれば、と提案。
2017年、社内ネットワークができた。当時の女性管理職は12人しかいなかったが、のちに10倍以上に。24年時点で女性マネジメント職比率は14.2%だ。
「後進のためにも、そういう場を作りたかったんです」
奥村さんはこう話す。
「振り返ると、希望した仕事ばかりではありませんでした。それでも異動のたびに新しい人との出会いがあり、そのご縁が次の仕事につながりました。私の財産は、肩書ではなく、『人とのご縁』なんです」
女性が理系の職場にいることは、かつてほど珍しくなくなった。だからこそ、人数や制度だけでは測れない課題が見えてくる。
どの仕事を選び、どこまで挑戦するかを本人が決め、その仕事を性別ではなく実績で評価されること。「リケジョ」が特別な存在ではなくなった先で、問われているのは、一人ひとりが自分のキャリアを選べる職場かどうかだ。
(編集部・大崎百紀)
※AERA 2026年10月26日号より抜粋

