「マッチョは意外に介護との相性がいいんです。あの体を創り上げるのには、地道な努力が必要ですから、まじめで一生懸命働いてくれるんです」
マッチョが若者を呼び始めると、そこに「自分の技術を伝えたい」と実績ある介護士たちも集まり始め、介護初心者だった若者が成長できるという好循環が回り始めた。
「物理的な距離」と、「優しい距離」
丹羽さんは現在、グループホームやシェアハウス、生活介護施設、訪問介護など31カ所を運営している。対象者の多くは障害者、特に他の事業所では受け入れが難しい強度行動障害や精神障害の方々だ。
「僕らの給料は、税金や保険料で賄われています。だからこそ、本当に困っている人を先に助けるべきだと考えているんです。脳神経系の障害がある方を支えるご家族の中には、家庭が崩壊しかねない状況に置かれ、一家心中を考えるほど追い詰められている方もいます。そうした方々を支えることで、社会の役に立っているという実感が生まれる。だから、僕らも堂々と給料を受け取れるんです」
「僕らがやらなければ、誰がやるんだ」という使命感もある。難しい支援を担うからこそ、自分たちが世の中に必要とされていると実感でき、自己肯定感も高まるのだという。
介護業界ではいまだに1法人1施設であるべきという考えが根強いそうだ。丹羽さんのように、介護をビジネスととらえて広げていくことへの警戒や批判もある。
「ご存じのように介護・福祉業界は、保険料や税金で運営されているため、自由な価格設定ができません。つまり、薄利なんです。じゃあ、薄利のビジネスはどうすればいいか。『多売』しかないと、僕は思います。施設を展開していくしか、この業界でスタッフの給料水準を上げることはできないんですよ。それでもサービスの質を落とさないため、フランチャイズにはしません。
僕たちがスタッフの待遇を上げられるのは、他よりも速いスピード感で事業展開できていることと、『マッチョ介護』効果で人材募集の広告費が不要になったから。『1つの事業所でなければ、じっくり地元の利用者に向き合うことができない』なんて、思い込みなんです」


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