昔、俳優の木村拓哉がカリスマ美容師ブームを牽引したように、マッチョたちが介護の仕事をやっていたら、若者も介護の仕事をかっこいいと思ってくれるんじゃないか。
しかし、どうしたらこのマッチョたちが、介護の仕事をしてくれるだろうか……。
「そこで、彼らが喜ぶ制度を会社に導入しようと思いつき、日本で初めてフィットネス実業団を社内に立ち上げたんです」
実業団員には福利厚生もある。勤務時間内の2時間をトレーニングに充てられるうえ、プロテイン代として毎月2万円を支給した。しかし、8時間勤務のうち実質6時間しか働かないなど、ただでさえ人手不足の現場が回るのだろうか。
「僕らの会社は訪問介護事業が多いので、利用者の自宅を回る際に隙間時間が発生します。その間をトレーニングに使ってもらえば、業務に支障が出ることはありませんよ」
マッチョがマッチョを呼ぶように
最初は丹羽さんが自ら大会に出向いてマッチョに「うちで働かないか」と声をかけていった。そのうちに、筋トレに専念しやすい会社としてマッチョがマッチョを呼ぶようになる。
そして日本初のフィットネス実業団を立ち上げてから3年後、丹羽さんのあるSNS投稿をきっかけに、「マッチョ介護」は広く知られるようになった。
『日本一マッチョの多い介護の会社。弊社に入社して結婚式を挙げると余興はこんな感じになります!!!2021年5月15日 ニワユウスケ|マッチョ介護の創立者のXより』
当時のツイートは、5.1万いいね、1.3万回リポストされた。
「スタッフの結婚式でマッチョを並べて余興をやったんです。その写真をXに投稿したらめちゃくちゃバズって、そこからメディア露出が一気に増えました」
取材は日本だけにとどまらず、アメリカ・フランス・ドイツなど、各国に広がっていった。名前が広がるにつれ、マッチョではない若者の応募も増えた。現在では、年間1800人程の応募が来る。そのうち採用するのは200人程度だという。
「カッコいいは正義」だ。マッチョたちが介護のイメージを一新させ、会社はとうとう人手不足問題から抜け出した。


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