「重度の行動障害がある方の支援には強い需要を感じていましたし、自分たちが価値提供できているという自負もありました。自傷・他害症状には、その方なりの理由がある。その理由を見極めて、安心安全な環境を整えることがプロの仕事でしょう。障害者だから難しいわけじゃない」
他の事業所が消極的になる障害者支援を進んで引き受けるうちに、「HIDAMARI」は一宮市で「男性ヘルパーを頼みたいならこの事業所に」といわれるポジションを手に入れる。
「高齢者介護事業では、他業種からの参入が進んでいます。でも、障害分野にはそれがない。また、僕らが一番恐れているのは法改正なのですが、それもたいてい高齢者が先にあって、しばらくしてから障害者に改正が起こるので、ある程度想定して対応できるんです」
もう一つの理由は、サービス提供が安定することだ。高齢者事業だと、利用者の入院が頻繁に発生する。入院すれば退院まで数カ月かかることもあるし、残念ながら病院で亡くなることもある。それでも事業所は、その方が戻って来たときに同じ支援ができるように枠を空けておくのが、暗黙の了解になっているという。
一方で、年齢の若い障害者なら、入院したとしても長引かないことが多い。
「僕らにとっては障害者事業の方が、圧倒的に『勝ちやすい』んです」
施設を増やせば、スタッフは集まる?
障害者事業で売り上げを伸ばしつつあったが、人材確保には例外なく苦戦した。
「最初は毎日メモリーに入っている1000人以上の人に全員メールして、SNSでひたすらDMを送って勧誘していました。お金をかけて採用広告を出しても、結局来ないんですよ。だから、ひたすら紹介の紹介で声をかけて、年に2、3人補充できればラッキー、という感じでした」
当時は訪問介護事業と放課後等デイサービスの2施設のみ。毎月の売上は800万円程度だった。それでも平均よりは多いものの、売上の天井も見え始めていた。受注案件を増やしたくても、スタッフが集まらない。集まっても辞めてしまう……。
この問題に対して思いついた解決策が、「施設を増やすこと」だった。
「僕たちの事業所は若い人が多いので、みんなと一緒に働きたいんですよ。でも、訪問介護だとバラバラに行動するじゃないですか。だから、入所施設を建てて人の輪をつくれば、求人も集まるって思ったんです」


※ログイン後、コメント入力が可能です。