「介護は、美容師業界と似ていると感じました。技術が高ければ売れるわけじゃない。お客様の要望にちゃんと応えているかが大切なんです。それに、経営者がみな職人気質なところも似ていた。
僕には、まだカリスマ美容師ブームが到来していないころの美容業界に見えたんです。大きなビジネスチャンスだと感じました。介護業界で、コミュニケーション能力の高い人を集めれば勝てるはずだと」
障害者事業で、勝ちに行く
いくら介護業界が忙しいからといって、ヘルパー事業所を開設すればすぐに仕事が殺到する、というわけでもないらしい。業界は狭い。特に地域に密着する事業だけに、「よくわからない若者」が立ち上げた事業所に来る仕事といえば、他の事業所が避けるクレーマー案件ばかりだった。それでも丹羽さんは、持ち前のコミュニケーション能力でうまく対応していった。
「3年くらい経ったころ、母が病気になって店を閉めることになりました。そこでその場所を改装して、障害児のデイサービスを開設することになったんです」
なぜ、高齢者事業ではなく、障害者事業に?
当時は丹羽さんの交友関係からスタッフを集めていたため、事業所には若い男性介護士が比較的多かった。しかし、男性介護士は高齢者介護の現場ではあまり人気がないという。女性利用者は異性に風呂や排泄介助をされるのを嫌がり、男性利用者には「女性がいい」と言われてしまう。丹羽さんの事業所には必然的に高齢者よりも障害者介護の仕事が集まるようになる。
「特に、自傷・他害症状のある方々の支援依頼が集まってくるようになりました。僕は格闘技をやっていたので、身体の大きな方に殴られたって、怖くはなかったから依頼を引き受けることができたんです」
令和7年度の調査によると、ヘルパーとして働く人は8割以上が女性、平均年齢は51.1歳だ。高齢者介護を想定した事業所では、力の強い対象者に対して複数人の配置が必要になるなど、事業所の負担が重いことが指摘されている。


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