中村さんに浪人を決断した理由を聞いたところ、「藝大しか見えなかったから」と答えてくれました。
「藝大に受かることしか考えていませんでした。浪人して藝大に向かっている俺はかっこいいと勘違いして、藝大を目指す自分に酔っていました」
美大専門予備校のなかでも“上手”だと評判だったが…
1浪した中村さんは、美大専門予備校の中でも上手だと評判だったそうです。しかし、予備校で缶詰めになってリフレッシュできなかったことが影響したのか、メンタルを崩してしまいます。
「最初は自信に満ちあふれていましたが、予備校に毎日行っていると、頭の中で途中から将来の不安がぐるぐるぐるぐると離れなくなってしまいました。夏くらいから予備校に通えなくなりました。自信も喪失してしまって、納得できる絵がまったく描けなくなってしまいました」
スランプに突入したまま2度目の試験を迎えた中村さん。この年は1次試験にすら受かりませんでした。
どん底の中村さんでしたが、環境を変えようと違う美大専門予備校に通うことにします。それが彼にとって転機になりました。
「通っていた予備校とはかなり異なる教え方でした。今まで行っていたところは基礎からしっかり教えてくれて、できない箇所があると怒られる感じだったのですが、新しく通い始めたところは、いいところをたくさん見つけてくれました。自分の絵はダメだと思い込んでいたのですが『君の技術は素晴らしい!』と常に先生に言ってもらえていたことが自信になりました」
2浪目は「毎日が充実していた」と楽しく予備校に通えたそうです。順調なら合格できる成績だったそうで、1次試験を突破しますが、今度も2次試験で落ちてしまいます。
「人に評価されるような絵を意識して描きすぎました。置きにいってしまったんですね。小手先のテクニックに走っていることが見透かされたことが、自分が落ちた原因だと思います」


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