コロナ禍が収束した22年以降になると、新たな夜行列車が相次いで誕生、または復活した。運行会社も旧国鉄系のみならず、オープンアクセスによって新興の民間企業が次々と参入を果たし、ヨーロッパは今や空前の夜行列車ブームが到来していると言っても過言ではない。
しかし一方で、夜行列車の運行にはいくつかの面で課題も残っている。
1つは車両の老朽化が進んでいることだ。オーストリア連邦鉄道がナイトジェット用に新型車両を製造した以外は、旧国鉄系の大手鉄道会社であっても、40~50年程度経過した古い車両を現在も使っている。夜行列車の衰退を受け、20年ほど前から新車の製造が止まったためだ。中古を使っている民間会社はもっと深刻で、1950年代に製造された70年物の車両すら現役だ。こうした車両は、時に運行に支障が出るほどの問題を抱えていることも多く、問題視されている。
また、寝台車は基本的に昼行列車に使えないため、昼間は車庫で休んでいることが多い。休ませている時間を極力減らし、効率的な運用を行いたい鉄道会社にとって、用途が限定される夜行専用車両はありがたくない存在だ。収益を確保するためには必然的に運賃を上げざるをえず、ほかの交通機関に対して不利な立場となってしまう。
鉄道ユーチューバーら設立の新興企業が開発
今回、新世代の夜行列車コンセプトを発表した3社は、アプローチこそ異なるものの、いずれもこうした夜行列車の課題に対するそれぞれの回答を示した形だ。
ベルリンを本拠地とする新興企業「Nox Mobility(ノックス・モビリティ)」は、民間鉄道会社Flix Train(フリックストレイン)の元幹部であるヤネク・スマラ氏と、人気YouTubeチャンネル「Simply Railway」のティボー・コンスタント氏が共同で設立した。27年3月からハンブルク―ミュンヘン間で商業運行開始を予定、チケットの販売も始まっており、今回展示のあった3社の中で最も実現性の高いプロジェクトだ。

