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「財前五郎のような教授はもう現れない」…大名行列はウソ? 今や民主的になった、"白い巨塔"の頂点に立つ教授の実像

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通路を歩く医師たち
ドラマ『白い巨塔』のような教授総回診の大名行列は、本当にあるのでしょうか(写真:metamorworks/PIXTA)
  • 松永 正訓 医師・ノンフィクション作家
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さらに外科系教室では、教授にはもう一つ大きな力がある。それはどの手術を誰にやらせるかの決定権である。

当たり前の話だが、外科医は手術をやらないと成長しない。もちろん見て学ぶことも重要だが、どこかの時点で自分の手で手術をやり切ることが大事になる。教授がこいつにはやらせないと言えば、それまでである。

うちの教室は、時代を経るごとに教授が部下に手術を任せるようになってきている。昔はそうではなかった。病名は出さないが、ある難手術は全例、教授が執刀していた。若手は手術に助手として入り、あるいは周りから見学してその手術を覚えた。

ぼくもその教授の手術を何十回と見たが、ハサミの使い方が本当にうまかった。まねできるのかなと不安になるくらいうまかった。

もっともそれだけたくさん自分だけが手術していれば、当然うまくなるよね。現在の教授はそういう意味で実に民主的である。

『白い巨塔』の教授総回診は実在する?

みなさんからよく聞かれるのは、教授総回診の大名行列って本当にあるの? という疑問である。

テレビドラマ『白い巨塔』を見ると、財前助教授(唐沢寿明)たちの医局員が全員で非常階段を駆け上がり、東教授(石坂浩二)が出てくるエレベーターを待ち受けるというシーンがある。回診で医局員全員が教授についていく。

これは、すくなくとも千葉大病院にはない。小児外科に関しては教授回診につくのは研修医だけだった(今は初期研修医は大学病院にいないので、専攻医などの若手だけ)。ほかの科の回診の様子も学生実習ですべて見たが、医局員全員参加というのは見たことがない。

ただ、適宜、受け持ち医が患者ごとにプレゼンするというのはあった。でもこれは教授が権力を振りかざしているわけではなく、誰かにプレゼンしてもらわないと、教授は患者を見ても何の病気でどんな状態かまったく分からないので、当然の行為である。

ぼくが呼吸器内科で見た教授回診の一コマはこんな感じ。呼吸器内科なので、患者の動脈血液中の酸素濃度(=血液ガス濃度)が問題になる。

教授が担当医に向かって訊いた。

「君、血(けつ)ガスはどんな感じかね?」

ベッドに正座していたお爺ちゃんの患者が代わりに答えた。

「はい、おかげ様でよく出ます」

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