やや話が逸れるが、2024年の春にぼくはABEMA TVに出演した。テーマは「患者と医師の適切な距離感」。
その中でぼくが、日本は医師の数がOECD36か国の中で人口比でワースト5であることを述べた。すると、KADOKAWAのCEO夏野剛さんから「医師が少ないのは日本医師会が反対してきたから」と指摘された。
反対してきたのは事実であるが、地方の医師不足は日本医師会のせいとは単純に言えない(そもそも日本医師会は昔と違って大した圧力団体ではない)。最終的に責任を持って決めるのは政治である。
現在、多くの医学部が受験のときに地域枠を設けているし、医学生の定員も2008年から上昇に転じている。2016年には東北医科薬科大学が、2017年には国際医療福祉大学に医学部が新設されている(ただし、将来の人口減少を見込んで2027年度から医学部定員は削減される予定)。
患者や家族との信頼関係を「分業制」で維持できるのか
いずれにしても、医師の働き方は否が応でも変わっていき、仕事は分業化されていく。そして新しい世代の医師たちが増えていく。今の医療で一番欠けているのは終末期医療だとぼくは思っているが、いい最期の看取りが分業制でできるのか甚だ疑問である。
ここからはちょっとセンシティブな話でうまく書ける自信がないのだが、ぼくはおよそ100人の子どもの死に立ち会ってきた。
その最期の瞬間、尊厳のある死に導くことはもちろん、安楽死に近いようなこともやってきた。それができたのは、ぼくという主治医と患者家族の絶対的な信頼関係があったからである。自分の持っている力をすべて患者にかけていたからこそ生まれた信頼関係だったと思っている。
そうした働き方が否定されているこれからの時代はどうなるのだろうか。



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