「川島さんみたいな人は実際にいるし、完全にペーパーレスの現場もある。日本の映像業界のグラデーションが26年時点でこんな感じだと、記しておきたかったんだと思います。どんな媒体でもできる助監督は必要だし、人手不足は永遠に変わらない」
告発ではなく記録、だからこそ重い。腕のある人が現場にとめ置かれ、チャンスを待つうちに年を取る。それが業界の「当たり前」として描かれている。
劇中で川島は、初監督作『闇のダークネス』で田中卓を起用する。無名の俳優と監督になれなかった助監督が、一度のチャンスで互いを救う。浜田雅功演じる人気俳優、壬生大也が川島に監督のチャンスを与えたからだが、現実には起きない奇跡だ。
「お客様」ではなくなった独立プロデューサー
磯山氏自身も、大きな転換を経ている。TBSで宮藤官九郎脚本『タイガー&ドラゴン』『不適切にもほどがある!』などを手がけた後、24年に独立し、Netflixと新作の複数制作の契約および作品の独占配信を発表した。TBS在籍中の23年にはNetflixシリーズ『離婚しようよ』をプロデュースしているが、専属契約の第1作目として新たな一歩を踏み出したのがこの作品だ。
「Netflixのリソースや岡野さんのアイデアをお借りして、初めてお客様ではない状態でやらせていただいた感じです」
地上波との最大の違いは、企画にゴーサインが出るまでだという。
「地上波では、クランクインのときに5話まで台本があったらすごいな、という感じでした。Netflixは作品のビジョンが固まっていないと制作決定に至らない」
岡野氏によれば、厳密なルールではないが、最後まで見通して集中して現場に入るため、全話をそろえるのが大前提だ。一挙配信を前提に、「1クールかけてキャラクターへの愛着を育てるのではなく、1話から一気に魅了する」キャラクターの見せ方も詰めたという。


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