メイクのプロはどう見るのか。美容研究家の上村富美江氏によると、最低限の身だしなみなら5〜10分、その人の魅力を最大限に引き出す仕上げでも20〜30分以内が目安だという。テレビや撮影用になると、これより2〜3割増しの手間がかかる。
つまり、メイクだけで3、4時間かかることは、プロの感覚でもまず考えにくい。「3、4時間」は、家事なども含めた合算の時間だと読むのが自然だろう。
平均だけでは、1人ひとりの朝は見えない。子どもが小さい人、介護をしている人、通勤が遠い人、人前に出る仕事の人。事情によって朝の時間の使い方はまったく違う。
確かに、身支度だけでなく、家事なども入れると「女性は男性よりも約3時間余分にかかる」というのは、調査からは事実とも言えそうだ。ただし、男性でも家事育児を女性と同じだけしている人もいるし、身支度にかける時間も人それぞれで、女性固有の事情として一括りにされたことに違和感が生じてしまった。
同じ発言が、人によって違って聞こえるワケ
一方で、この発言を別の角度から読む人もいる。X上では、《高市氏は自身の経験を語ったのであって、女性が家事を担うべきだと明言したわけではない》という指摘も出た。ただし、この投稿主も、高市首相が他の首相との時間差を性別で説明したことによって、ステレオタイプのジェンダー観を押しつけかねない、といった懸念を書いていた。
Yahoo!ニュースのコメント欄にも、「本来は国会改革の話だったのに」という趣旨のコメントが見られた。
同じ発言を、国会改革への答えとして聞く人、女性の負担を語った言葉として聞く人、言い訳として聞く人。受け止め方はここまで割れている。そのどれかが間違っているとは言えない。
理由の1つは、人は耳に入る情報のうち、自分にとって重い言葉を拾いやすいことだ。心理学では「選択的注意」と呼ばれる(※1、※2)。
毎朝弁当を作る人には「朝食の支度」「後片付け」が、人前に出る仕事の人には「メイク」が、総理の仕事ぶりが気になる人には「時間の確保」が、それぞれ大きく響く。


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