後編:『「無期限休業→再開直後に源泉ストップ」 重機も入れない崖の配管断絶から"再起"した宿が「食事を出さない」選択をしたワケ』
雪に閉ざされる秘湯の宿
東北新幹線「やまびこ」が停車するJR北上駅から、車でひたすら西へ向かう。市街地を抜けると、景色は広大な田んぼと畑に変わる。やがて道は細く曲がりくねり、視界いっぱいに濃い緑が迫ってくる。走り出して40分。カーブミラーが次々に現れ、すれ違いも難しい峠道になる。
不安が募り始めたころ、ふいに視界が開けた。そこにあるのが、秘湯・夏油温泉だ。
夏油温泉は、奥羽山脈の懐に抱かれた山あいにあり、ブナの原生林の間を流れる渓流の両岸に、源泉が点在する。開湯は1000年以上前の平安時代とも言われ、江戸時代には東北を代表する名湯として温泉番付の「東の大関」に名を連ね、明治から昭和初期にかけては湯治場として親しまれたという。戦後になると、1963年に湯治客向けの自炊棟として夏油温泉観光ホテルの前身の宿が開業。最盛期には6軒の温泉施設があったが、今は元湯夏油と2025年に復活した夏油温泉観光ホテルとの2軒だ。


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