困った顔や泣き顔、感情が爆発したような表情、何もしたくないという気分を表す画像は、現代の若者の心情にぴったりだ。原作を見たことがなくても、ちいかわのスタンプを目にしたことがある人は少なくない。
ショート動画プラットフォームでの拡散も、人気を押し上げた。抖音やBilibiliには、アニメの切り抜きやストーリーの解説、ファンが制作したイラスト動画などが数多く投稿されている。作中に登場する怪物の正体や、寓話的な物語に込められた意味を考察する動画も人気を集めている。
一方、小紅書では、グッズの開封動画やコレクションの紹介をはじめ、ちいかわをモチーフにしたネイルアート、文房具、ファッション、手描きイラストなど、多彩な投稿が見られる。バッジやぬいぐるみ、キーホルダーなどを集めるファンも多い。
さらに正規品だけでなく、模倣品も出回っている。街のトレンド雑貨店や文房具店でも関連商品を見かけるほか、ファン同士の交換や売買も盛んだ。
映画は未公開でも人気がある
昨今の日中関係により、日本で今年公開された『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』は中国本土では見ることができない。それでも、ちいかわは中国の若者の間で高い人気を集め、スタンプやネットミームを通じて、ファン層を超えて広がりつつある。
ちいかわの人気は、単にキャラクターがかわいいからという理由だけでは説明できない。日々の生活で感じる不安や疲れ、理不尽さを、愛らしいキャラクターに託して表現できることも、若者たちの共感を集める理由なのだろう。
なぜ中国の若者に人気があるのか。私は、その理由を大きく3つに分けて考えている。
第1に、かわいらしさは言葉の壁を越える。ちいかわは、複雑なセリフを理解しなくても楽しめるキャラクターだ。怖いときには泣き、うれしいときには喜び、困難に直面すると戸惑う。こうした表情や仕草は、文化の違いを越えて人々の心に伝わる。日本語がわからなくても、画像やスタンプを通じて、その感情を共有できるのだ。


※ログイン後、コメント入力が可能です。